今日じゃないいつか

第1話


 子供の頃から感じてた。



 「今日」がいつか。


 「明日」はいつか。



 昨日と同じ日が、ずっと続くものだと思ってた。


 それは今もなんだ。


 こうして、学校から帰る道すがら、穏やかな空の流れを見ていると。




 昨日と同じ夢を見ていた。


 そんな感覚に囚われるのは、なんでだろう?


 雨上がりの空の下で、昨日と変わらない「空」が、そこにある。


 きっとそれは、永遠に続くものなんだろうって思ってた。


 明日も明後日もその次の日も、何も変わらないんだって感じてた。


 胸のずっと奥、——心の奥で。



 いつからだろう?


 胸の中に残るしこりが、気にならなくなったのは。

 


 今日はもう来ない。


 そんな予感が頭に掠めて、ふと、振り返る。


 その先にはもう何もなくて、ただ、道端の木の葉を揺らすそよ風が、さっと舞い上がるように吹いていた。




 だから僕は放課後の後、自転車のペダルを漕いで街に出かける。



 明日を追い越してしまわないように。


 今日に追いつかれてしまわないように。



 いつか見た夢の中の景色を、置き去りにしてしまわないように。

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