化け物魔道士様と斑の私

冒頭の数行で、世界観に引き込まれました。

美しい国を守るものは、モップ猫と呼ばれる猫型の獣人達です。希少種は寵愛を受け、斑模様の濃いものは劣悪な環境から抜け出すことは困難。そんな斑模様の「私」を召し抱えてくれるのは、美しき魔道士――ではなく、ワケあって化け物の呪いを受けた魔道士様なのでした。

化け物の姿なのにちょっと可愛く思えてしまう魔道士様と、彼に付き従う健気な獣人。この関係性に癖がくすぐられた方は、絶対に読むべきです！

物語の舞台は、とある「美しい」国。
ゴミ1つ無く、衣服も清潔、食べ物も新鮮。一見、理想的なその国の「美しさ」には、ある秘密がありました……。

そんな国で生きる魔道士：トーマスと、従者：ルラベルは、周囲から疎まれています。
原因は、彼らの種族と、その容姿でした……。

大人向けのおとぎ話のような本作の雰囲気も魅力的です。
ですが、この二人の関係性や、やり取りが……もう、ステキで。
思わず、にやにやしてしまうというか、なんだか、ずっと見ていたくなりました。

作中の国の美しさには、不都合な秘密がありましたが。
「この二人は、間違いなく美しい」
胸を張ってそう言いながら、オススメしたい作品です。

宇部さんの文章って本当に優れていると思います。なぜならコミカルなお話もシリアスなお話もとても読みやすく、好感を持てる優しさがあるのです。
このお話と同様です。

醜い、という基準はひとそれぞれでしょうが、美しさはやはり誰が何と言おうが美しい。

魔導士とモップ猫というファンタジー設定で語られる寓話。子供の頃から馴染んだワクワクする物語と同じ世界の中で…子供の頃に読んだのとよく似た教えを受けます。

一読あれ、

『モップ猫』と呼ばれる猫型の獣人、ルラベル。
美しく強い魔道士、トーマス。

『美しい国』と呼ばれる国で、スラムで暮らす斑模様のモップ猫は汚らしいものとされていた。
しかしトーマスはルベラルを愛するが故に、自ら醜い姿になる呪いをかける。

そしてある日、国王からスラムの『解体』とモップ猫の追放を命じられ……

たまに思う。美しさに執着するのは、本当に美しいのかと。
誰かを蹴落とし、貶し、「汚らわしい」と断じるのは、本当に美しいことなのか。

それはこの物語で、魔道士とモップ猫だけが知っている。

まるで、おとぎ話のような華麗さ！

どことなく懐かしくなるような雰囲気は、眠れぬ夜に読み聞かされた物語たちを彷彿とさせます。

寝る前の一作に是非！！

　『カクヨムコン短編賞』応募作品です。
　かつては美男と呼ばれていた魔道士が、自ら呪って醜悪な見た目に身をやつし、斑種のモップ猫を連れています。
　彼らが向かった先は王城。
　王の頼みを聞くためだった。

　そこから始まる痛快な物語は、読後感もよく、「カクヨムコン長編賞」応募作を読むのに疲れた方にとって、一服の清涼剤になることでしょう。
　ぜひご一読くださいませ。

魔道士様の英断に拍手喝采でした！美しさ至上主義の世界観、めちゃくちゃ面白いです！

美しく、誰もが羨むほどの力を持った魔道士様が愛してるのは、皆が醜いと蔑む「斑」な女の子。

美しいが歪んだこの国で、

美しい彼女を守るため、

化け物魔道士様が本当に美しい国をつくってくれるはず！

期待してます！