第15話 突撃!隣のダンジョン!

俺たちの「トイレの扉ダンジョン」の攻略が始まる‼

―――のはず、だったが…


「よし、行こうぜ!」

「あ、ちょっと待った。」

「なんだよ?まだ、何かあるのか?」

「一様ね。てぃ!」


そう言うと、ノルンしゃがみながら地面に手を当てる。それと同時に魔法陣みたいに光だす模様なものが地面に現れる。


「こ、これは!?」

「スキル<一時撤退>よ。離れた場所に居てもポイントした場所に戻れるようになるわ。」

「ゲームとにある、ファストトラベルみたいだな。」

「けど、戻れる距離に制限あるし、一度に一つしかポイント出来ない、戻る時にまたスキルを発動したりしないといけない等、不便ではあるわね。空中とか水中じゃ使えないし。」

「不便って…充分だろ。」


そう、呆れる俺にノルンは話を続ける


「そう?私は使えないけど、瞬間移動とか空間に穴を空けて場所と場所を繋いで移動とかあるわよ。」

「あると思ってたよ瞬間移動とか。にしてもノルンは使えないんだな?やっぱり学ぶのが難しいのか?」

「それもあるけど、スキルの取得にも相性や才能も必要なのよ。けど、似た様な効果や、使い方によっては似た様な結果にできるスキルはあるわ。」

「億もあれば、似た様なスキルはあるわな。けど似た様な結果って?」


その質問を待ってましたとばかりに意気揚々と話だすノルン。人に物を教えるの好きなのかも


「例えばスキル<切断>という物を切るスキルがあるんだけど、物を切るだけなら、スキル<真空波>という風を飛ばすスキルがあって、それを使えば<切断>と同じ様に物が切れるわ♪」

「スキルも使い方次第って事ね。」

「そうよ~。頭良くないとね!」


そう、自信満々に説明を終えるノルンを見て子供っぽさを感じる


「あと、その頭の光よりも便利な物があるわよ。」


そう言うと、ノルンが立てた一指し指から小さな光の玉が現れ、辺りを照らす‼


「こ、これは!?」

「スキル<光玉こうぎょく>よ。」

「こ、こうぎょく!?」

「この小さな光が周囲を照らすのよ。」

「そ、それだけ!?」

「?それだけよ。」


驚く俺に不思議そうな顔を浮かべるノルン。


「そりゃ、大層な名前なのに効果がショボすぎだろ。大概こういう名前が付くときは、何か古の悪い力に対抗する効果とかだろ。」

「悪かったわね、ショボくて。なら、消すわよ!」

「あぁ~‼悪い、悪い!とても便利なスキルだよ!探検には欠かせないな!さすが、ノルン!」

「ふふ~ん♪」


慌てる通時を見て満足そうなノルン。その顔を見て、やっぱりコイツ、ガキだわ。っと心の中で断言する通時であった。


「もういいか?」

「取り合えずは。」

「そういえばどっちに進む?音がした方?扉の後ろの方?」


このトイレの扉は、某ネコ型ロボットがポケットから取り出す扉みたいに置いてある

そのため、扉の後ろにも道が続いている


「前回、音が鳴った方には微かに力を感じたわね。」

「なら、そっちで行くか!」


―思考回路がバグってる通時と頭が残念なノルンのダンジョン攻略が始まる‼―




ザッ、ザッ、ザッ、―――




「…しばらく進んだが、特に怪しい感じはしないな。」

「そうね。けど何が潜んでるのか分からないから注意はすることね。」


ダンジョンとはいえ、洞窟。しかも、よく山とかにできる洞窟みたいな感じで、ノルンの説明がなければ、なんの変哲もない洞窟にしか思えないのである


「この地面の土とか見ても普通そうだしな…。」

「そうでもないかもよ?普通に見えそうで成分が違うかもしれないわ。」

「そうかね?っと、前見たらさっそく障害が見えてきたな。」


進行方向に道を遮るように、天井に届きそうな程の大きな岩があったのである


「ノルン、採掘スキルとか持ってないのか?」

「ないわ。困ったことないし。」

「まぁ、掘るなんて生活の上では必要ないもんな。よっしゃ!こんな事もあろうかとツルハシを持って来たからな!任せとけ!」


っと、岩を避けて進める様にツルハシで横の土壁を掘ろうとしたその時―


「どいてなさい。」っとボキボキと指を鳴らしながら岩に近づくノルン


「は?どっけって?それに、指鳴らしてどうす――?」


ドゴォォォォォォォン‼‼‼‼


豪快の音ともに目の前にあった吹っ飛び岩が崩れて道ができる‼‼


「これで、通れるわね。」

「あ、あっ…、あ…。」

「なに震えてるのよ?とっとと行くわよ。」


そう言い、先に行くノルンの背中を見て、今起きた事に通時は、採掘スキルが要らない訳を理解すると同時に、心の底から震え上がった…真の恐怖と決定的な挫折に…


「な、なんて奴だ…。こ、殺される…下手すると殺される…。」


人を一撃で殺れる程の力は無いと、その上、スキル<ご都合主義>があれば死ぬ事は無いと思っていた。


が!まさか、あんなノーモーションで岩を壊すとかコイツの力はどこまであるんだ?ってか、ここまでくると頼れる用心棒どころか、爆発させてはいけない爆弾、いや本当に怪物だ。今まで舐めてた。何処か冗談に、大袈裟に言ってたが…逃げるか?


「いつまでそこに居るのよ?行かないの?」


そう、言うノルンの言葉に我に返る。そして、


(何をビビってるんだが俺は…。俺はいつからこんな小心者になっていた?自信持って、今までで通りに行こうぜ!なぁ、俺!)


今、一人の男、いや"漢"が覚悟を決める!









「へい!すいません!今、行きます!姉御!」


っと結構先に進んだノルンの元へ駆け出す、媚び売る気満々な顔した通時


「姉御?」

っと、不思議な顔をするノルン




―姉御となったノルンと舎弟になった通時のダンジョン攻略は続く‼―

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る