第7話 おはよう、異世界 

ジリリリリ…プシュー…


「よし!なんとか間に合ったぜ!」


俺はあの扉の前でのノルンとのやり取りの後、全力疾走をして駅に向かったのであった。だが、それでも間に合うかどうかかと思えた時に奇跡が起きる!

そう、信号が全て青だったという奇跡をね♪

えぇ、使いましたよ使いましたとも。スキル<ご都合主義>をな!けど、仕方ないよね?影響でるとはいえオート発動だし~、止めれないし~俺、悪くないし~。むしろ被害者なのでは?そう思いながら満員電車の中、席に座り今後スキルをどう発動させずにするかを考えるのである。


「おはようございます!」「おはよう~」

無事に遅刻せずに出勤できた俺は、フロアの人に挨拶を交わしながら自分のデスクに向かう。


「オッス、通時。」

「おはよう、太郎。昨日は、色々都合の良いことが起きて今週は仕事が楽そうだな」

「間違いない!今までずっと残業&残業残業だったからな。昨日は久しぶりに太陽が沈まぬうちに帰れて、夕日に感動したぜ!」


コイツは、俺の隣のデスクに座る田中 太郎(たなか たろう)だ。


ブーーーン


名前:   田中 太郎(たなか たろう)

性別:   男

顔:    THE 野球少年みたいな丸顔

髪型:   坊主

髪の色:  黒

体型:   身長は俺より少し高い。

服装:   スーツ


うーむ。絵で書くときは楽そうである。


「どうした通時?宙を見つめてなんか見えるのか?」

「いや、田中のステータス画面を見ていたんだが…やべ!」

「ステータス画面?また深夜までゲームやってたのか?昨日ぐらい早く寝ればいいのによ。」

「そ、そうだ!そうなんだ!ゲームが面白くてなつい!今日は早く寝ようかな!」


そう言ってなんとか誤魔化す。危ない危ない。この世界は異世界だとはいえ元の世界に限りなく近いのだ。これ以上、RPGにでてくる異世界にするわけにはいかない!


「ところで、昨日公園でお前、綺麗な女の人と話していたな。あの人は誰なんだ?」

「えっ!太郎もあの公園に居たの!?」

「居たわけじゃないがあそこは、駅に向かう時に通りにある公園だろ。だから見えたんだよ。」

「なるほど~。ちなみに、女の人の服装とか髪色に違和感というか変だと思わなかったかい?」

「いや、別に何も思わなかったが?よくある服装、髪色じゃないか?」

「なるほどね~。」


どうやら、ノルンの言っていた通り、スキルにより都合よく認識が変えられてるらしい。


「ただ、変と言えば宙に浮いてたような?」

「うおぉぉぉい!宙に浮いてるとか何言ってるのこの子は!そんなゲームみたいな人がいる訳ないじゃない!見間違えよ!」


そうして俺は、声を上げて誤魔化しだす。あの光景から見られてたのか!?クソ!一番重要な認識を変えてないとか、どう言い訳する!?舞台役者でドラマのワイヤーアクションしてる最中だった事にするか?など考えてた時


「まぁ、ずっとジャンプしている人かな?って思ったよ。彼女は体操選手か?」

「そそ、そうなんだよ。うん。そう体操をしていたんだ…」

「そうか!いや、それにしても凄い美人だったよな!知り合いなら今度紹介してくれ!して下さい!」

「ハハッ…。ちなみに他に周りに人はいたかい?」

「?いや、俺だけだったが?」

「そうか!それは良かった!」


(にしてもあっぶね~。コイツがバカで本当に良かったわ~、救われたわ~。都合よくコイツしかいなくて良かったわ~。にしても、帰ったらノルンにもう、宙に浮くなって言おう。あと服装とかも変えて貰おう。)


そしてバカに救われた俺は、うまく誤魔化すことができて一安心するのであった


と思い。隣のバカに救われ、そう一安心して、仕事に取り掛かるのであった。

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