第16話 ダンジョンもんすたー発見!

「特に何もないわね~。」

「そうですね!」

「音があったんだから何か居てもおかしく無いんだけどね~。」

「そうですよね!姉御にビビってるんですかね?」

「…どうゆう意味よ?」

「失礼しました!姉御の放つオーラに近づけないかもしれないって意味です!!」


あの後も、岩が道を塞いでいたりしたがノルンの拳一つで突破するパワープレイでダンジョンの奥に進むノルンと舎弟(通時)


「てか、アンタのその口調さっきから何よ?」

「へい!これは姉御の偉大さに気がつきましてね!尊敬の為にこうしてます!」

「ふ~ん?なんか違う意図を感じるわね。」

「そ、そんな事ありません!姉御が怖いとか恐ろしいとかそんな事ありません!」

「アンタ、それが本心でしょ?」


そうして、なんとか宝を取るまではノルンを怒らせないよう、刺激しないように必死に機嫌を取ろうとする通時


そうこうしていると目の前に大きな空間と土の壁が見えてくる


「行き止まり?」

「そんなバカな!まだ何も起きてないし見てないんだぞ!」

「けど、この土壁を掘り進んでも何もなさそうよ。」

「クソ!なら手当たり次第この空間をツルハシで掘るか?それとも扉の後ろの道にもど―。」


その時、

カラン、コロン。っと、

小さな石が上から落ちてくる


バッ、と上を見る二人。よく見ると行き止まりだと思われた土壁は、天井までは届いておらず、はるか上の方に掴めるような所があった


「これを登れば、何か居そうだな。」

「そうかもね。前とは違うけど力を微かに感じるわ…。」

「なら、この洞窟に生物が二匹いるって事か?」

「そうかもね。まぁ、二匹どころじゃなさそだけど。」

「一匹みたら三十匹いると思え。のゴキブリ理論って事か。」

「ゴキブリ程度ならいいけどね。」


そう呟くノルンに、(クソ!ゴキブリ苦手じゃないのかよ!なんとかノルンの弱点を掴まなければ俺の安心した生活が送れん!)っと心の中で思う通時


「だが、上に何が待っていようが道があるなら行くしかあるまい!」

「アンタならそう言うと思ったわ。」


呆れながらも通時の事を、理解しだしたノルン


「よし!こんな事もあろうかと、ロープとハーケン持ってきたからな!今、準備する!」


リュックを下ろし、準備を始める通時。だが、ノルンがそれを止める


「いちいちそんな物で登るのめんどくない?私が上げてやるわよ。」

「え?良いんですか?」キュン


そのノルンのイケメンさに心が乙女になる通時


「アンタぐらいあそこまで投げるの余裕よ♪」

「一瞬でもお前に期待した俺がバカだったよ。」


さてと、安全第一。安全第一と準備を進める通時。


「冗談よ。けど、おんぶとか嫌だからそのロープを体に結びなさい。そしたら運んであげる。」

「本当だな?ロープの端を掴んで投げ飛ばしたり、急に手を離して落とすなよ?」

「しないわよ。少しは私の力を信じなさい。」

「そこは大丈夫。お前の”力”だけは疑ってない。」


そして、念入りにロープを体に結んだ後、その端をノルンが掴み、飛び出す。まるで重さを感じないようにいっきに飛んでいく


「とうちゃ~く。」

「あっという間だったな。ありがとうございます。」


そうお礼をノルンに言いつつ、(最初っからノルンがこれだけ出来るの知ってたらもっと荷物減らせたし、余計な買い物しすぎたわ。次回は気をつけよう)っと思う通時だったその時、


ガサガサ!ガサガサ!


岩と岩の間を何かが横切る!


「今、何か岩と岩の間を横切ったよな!?」

「そうね!何か居るわね!気をつけなさい!」


警戒する二人に、岩影から「キュキュン!」っと鳴き声と共に何かが飛び出す!


「遂に現れたかモンスター!ゴブリンか?スライムか!?」


そして、二人の目の前に、ボーリングより二回りデカい狸に似た顔だけのモンスターがコロコロと転びながら現れたのである


「こ、これがモンスター?なんてか、可愛いんだ///」キュン


その現れたモンスターの可愛さに心を奪われる通時


「キュン?キュ~ン?」


と、顔をかしげながら二人を見るモンスター


「うおおおお可愛すぎる‼‼その大きなウルウルとした目!よく見たらあった、小さい手足!モフモフしたい!」


あっという間にその可愛さに我慢できなくなった通時は、ハァハァと興奮しながらモンスターに駆け出す!


―――だが、通時がモンスターを抱きしめようとした時、モンスターが豹変する


「ぐおぉぉん‼」


さっきまで何かのマスコットの様に可愛いかったモンスターは、一気に体が大きくなり鋭い牙や爪も現れ、顔も狸のような物から狼のような物に変わっていく!

そしてそのまま、大きくなった口で嚙み砕こうと通時に飛び掛かる!ビュシュン‼


バグン‼‼









完璧なタイミングにより避けようがなく、喰われた通時は下半身しか残ってないと思われたが、そこには下半身どころか、影もなくなっていた






「ギャイン‼‼」

ドゴ――――ン‼‼



っと、大きな叫び声と音と共に通時を食べようとしたモンスターが岩に激突する。

その音と同時にあちらこちらの岩陰から似たモンスターが続々と飛び出す!


「エサが良かったのかしら?沢山でてくるわね。」


そう呟くさっきまで、通時とモンスターが居た場所に立っているノルン


あの瞬間、ロープを引っ張り通時をモンスターから引き離す。同時に高速でモンスターのに近づきその勢いのまま顔面に拳を放つ。ノルンの拳を受けたモンスターは吹っ飛び岩に激突し、絶滅する


そして今、仲間を殺された事により怒る狼みたいなモンスター達に囲まれたのである


「グルルルル…」「ガルルルル…」

「あっちやこっちや多いわね~。50匹ぐらいかしら?一匹づつ殺るのはめんどくさそうね。」


この状況でなお、余裕をかますノルンにモンスター達がジリジリと近寄る


そして―――


「ワオォォォン‼」


一匹の遠吠えと共に、モンスター達が四方八方とノルンに一気に襲い掛かるのであった







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