第14話 異世界新発見!ダンジョンぷら

チュン、チュン、チュン、


「遂にこの日が来たか…」

「おはよ~。……一週間もあれば、冷静になって辞めるかと思ったのにやる気満々ね…。」

「当たり前だ‼見ろ!この天気を!冒険日和じゃないか!」

「私たち、洞窟行くのよ。しかも異世界の。」

「気持ちの問題だ!さぁ、ノルンも装備を整えるんだ!」

「はいはい…。あぁ~、めんどくさ。」


遂に冒険する日を迎えた俺の気分は上々である。ノルンは相変わらずめんどくさそうである。そんな二人のテンションに差があるが、装備を整えた俺たちはトイレの扉の前にいる。


「遂に、未知の領域に突入する時が来たな。」

「えぇ…。」

「これは、人間にとっては小さな一歩だが人類にとっては偉大な一歩だ。」

「そう…。」

「どんな危険が潜んでるか分からないが気合入れて行くぞ‼ノルン隊員‼」

「なら、引き返さない?」

「馬鹿野郎‼今から、そんな弱気な事をいってどうする⁉」

「はぁ…。」

「開けるぞ‼」


ガチャ!


そして現在、俺たちはノルンが発動したスキル<ご都合主義>の影響により俺の部屋のトイレがダンジョンになった場所にいる。何を言ってるか分からないと思うが、俺も分からない。頭がおかしくなりそうだ。

だが、ダンジョンと言えばお宝だ。危険があるとはいえ、スキル<ご都合主義>使えばある程度なんとなりそうな上に今回は、無茶苦茶強い用心棒(ノルン)が全面協力してくれる。これは大チャンス‼この機会をものにして、部屋代を稼いでみせるぜ‼



…バタン!

パァァァァ!と閉めた扉にノルンが光を当てている


「閉めた扉に何してるんだ?」

「封印と補強よ。扉を簡単に破壊されたら向こうの世界に帰れなくる可能性があるし、何かあって開いてしまって気づかないうちに変な物が向こうの世界に入ってくるかもしれないしね。」


これは意外だな。ノルンは自分の暇つぶしの為や楽をするためにスキルを使ったり、面白そうなトラブルならそのまま放置して俺が困っている反応を楽しんでるだけの女と思っていたが、自分が言った限りはしっかりやる。只の我儘女ではなさそうだ



「よし!これで心配はないな‼行くぞ‼」

「はぁ、めんどくさい…」

「そこはオー!って言うところだぞノルン!行くぞ‼」

「…お~」


そうしてここに、ダンジョンを冒険する事やお宝や、アイテムに期待する物欲等にまみれテンション上がりっぱなしの通時と、安易に世界規模でスキルを使ってしまった事や、全面協力するとか言ったり等、己の軽率な行動に後悔し、これらからアホのお守りをする事にテンション下がりっぱなしのノルンがいるのである



「にしても、アンタ色んな物を持って、装備が重そうね。」

「当然。何があるか分からんからな。逆にノルンはいつもの服装で袋一個とか軽すぎだろ。」

「まぁ、ダンジョン自体は未知とはいえ、とりあえず調べた時にはヤバい感じの力は感じなかったからね。」


その、ノルンの言葉にテンションが少し下がる。

ゲームとかでの相場で考えれば危険度が高いほど良いアイテムが手に入るからな。けど、初めて異世界らしい場所を探索するから危険が無い方が良いかもな


「ただ、奥の方までは分からないから注意しなさい。このダンジョンは私の知らない異世界のダンジョンだから何が起きるか分からないわ。」

「けど、ノルンなら強いしスキルもあるし何とかなるだろ?」

「どうだろうね?知らない異世界だからスキルが通用しないパターンもあるかもしれないしね。」

「不安な事いうなよ…。」

「なら、辞めようか!」

「いや、行くに決まってるだろ。まだ危険じゃないんだし、お宝欲しいし。」

「アンタの思考回路どうなってるのよ?まぁ、確かに今のところはアンタのレベルでもなんとかなるわ。」

「レベルって…俺のスキルとかにレベルあるのか?」

「ステータス見てみなさい。前よりいろいろ項目が見えてるはずよ。」

「了解。ステータス画面、オープン!」


ブーーーン


宙に画面が現れる。


名前:   普田 通時(ふだ みちとき)

性別:   男

レベル:  10

スキル:  ご都合主義、開示

髪型:   短髪

髪の色:  黒

体型:   中肉中背

服装:   登山向けの服装

装備:   大きいリュック、ライト付きヘルメット、ツルハシ


「おぉ!前より分かるようになっている!それに、レベルも表示されてる!」

「アンタも、スキル使って経験積んでレベルが上がってる証拠よ。」

「レベルが上がってるって事はそれだけスキル使ってる事だろ?つまり、それだけRPGの世界に近づいてる事か…。」

「そうなるわね。けど、レベルが上がってるって事は、効果もそれだけ強く広く使える事だから悪くないと思うけどね。」

「嬉しいような、悲しいような。そういえばスキル<開示>ってのが増えているな。なんだこれは?なんで増えたんだ?」


俺の言葉にノルンは考え込む。また何か変な事が俺に起きてるのか?それともこのダンジョンに踏み入れたせいで、なんらかの影響を受けたか?


「アンタ、どっかで他人のステータスを見たいとか思ったことある?」

「うん?そんな事は…あ~、あったわ。田中の事を考えてた時にステータス画面現れたわ。」

「それにスキル<ご都合主義>が反応してスキル<開示>を与えたかもしれないわね。ちなみに、スキル<開示>は他人のステータスが見えるようになったりするわ。」

「そんな事でスキル増えるのかよ?」

「スキルは学んだり、他人から与えられたりするのはもちろん、スキルの効果で新たなスキルが発動する、理由不明で偶然発動する等、様々な理由で取得が確認されているわ。」

「まるでRPGによくある魔法を取得するシステムだな。けど、ノルンのステータス画面は見えないな。なんでだ?」

「アンタのレベルが低いからよ。って言いたいけど私の場合、更にあらゆるスキルに対して影響を受けづらくするスキルを発動してるからよ。」


そう説明するノルンに、俺は、一体コイツは何レベルあってスキルの数は何個あるんだ?もしかしたらコイツは天界人でもエリートなのでは?っと思うと同時にこのダンジョン攻略において改めて心強い用心棒だと思うのであった


「ところで、ノルンの袋には何が入ってるんだ?」

「えっと、サイトウのご飯と牛丼の具のパック!凄くない!?これでいつでも牛丼食べれるのよ…」

「……そうだね。」


頭の方は少し残念な所があるなと、少し不安に思うのであった。


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