猫のお話

 ともあれ、こうやって一回目の入院はなんだか終了した。


 再びうすぼんやりとした生活。

 起床するのはいつも8時くらい。することは特にないのでぽわーっと午前中を過ごす。途中ヘルパーさんがご飯の準備をしてくれて、午前のイベントはほぼ終了。

 ヘルパーさんが帰ったのち、二時くらいにお昼を食べる。

 その後再びぼんやりと過ごし、八時頃に晩ご飯。お食事はたいがいカレーか麻婆豆腐、かな? ヘルパーの♂Nさんが好きな八宝菜とか回鍋肉も多い。


 ところで水頭症に薬はない。従って薬を飲む必要はないのだが、トイレに失敗するのには閉口した。

 バカになっちゃったので尿失禁も実はあまり気にならなかったのだが、オムツを替えなければならないのには少し参った。


 考えてみて欲しい。オムツだよ? おパンツじゃないのはかなり屈辱的だ。


 4月に家にいたあいだ、履いているのは常にオムツだった。その日に失敗しなければそのまま履きっぱなし、尿失禁しちゃうまで同じオムツを使い回した。

 しかし、今時の大人用パンツはよく出来ていることには感服した。着用感はほとんど普通の下着と変わらない。容量は約300ml。一回に150mlの尿が出ると想定して容量は二回分ということらしい。

 この大人用オムツだが、どうやら直立している時に漏れないようにと設計されているようだ(パッケージにもそう書いてある)。容量が300mlということに油断して寝ている時に失禁してしまうと尿が漏れる。尿が漏れるということは布団も濡れるわけで、寝る前のおトイレは毎日の日課となっていた。

 ところでオムツには前後があり、多くの場合は後ろに印がついている。購入する際には20枚以上のお徳用がオススメ。2000円くらいで購入できる。

 高齢者になると結構オムツの利用者は多いらしい。オムツがあるおかげで外出が楽になったというコメントもどっかで読んだ。

 しかし、まだ前期高齢者にもなっていないと言うのにオムツ生活というのはかなり厳しい。ましてや、出かける時には万が一のためのオムツを持っていくのだ。馬鹿馬鹿しいにも程がある。


 4月はこうやって暮れて行ったのだが、捗々しい記憶はほとんどない。

 閑話休題。

 実はうちには猫が三匹いたのだが、彼らの面倒はヘルパーさんが特別にやってくれた。ついでに言うと掃除もその時にヘルパーさんがやってくれた。

 それでも家は荒廃する。

 病院から帰ってきた時には観葉植物は水切れを起こしており、猫のトイレのシートは猫のおしっこでびっしょりという状態だった。

 別にヘルパーさんが悪いわけではない。

 ただ、家を空ける突発事態には備えていないといかんな、と思った次第。


 今飼っている猫三匹(マロン♀、シロ♂、ロロ♂)も目下の課題の一つだ。

 元々失職しないで長く住むつもりだったから猫が増えた。

 だが今は生活保護の身、区からの支給金額は12万9270円で家賃の上限は5万2000円(横浜市磯子区の場合)と決まっている。

 無論これを超過していても交渉は可能なのだが、上限を超えた分は持ち出しになるためかなり現実性は低い。

 家賃が高くて干上がったとか餓死したとかという事件が起きてしまった場合、事態はまったく洒落にならない。

 そこで早速引越し先を探し始めたのだが、これがかなり難しい。

 生活保護を受けている場合、賃貸を断られる場合があるのだ。

 生活保護なら家賃は区が支援してくれるから被生活保護者の方が安全な店子だと思うのだが、どうやら違う考えを持っている貸主もいるらしい。

 まあね、生活保護だと何かと色々面倒なんだろう。

 まだ契約にこぎ着けていないので(2023年6月12日現在)、どうなるのかは判らないけど。


 猫と一緒に引っ越そうと思っているので僕はペット相談の物件ばっかりをみているのだが、実はこれにも落とし穴がある。

 ペットと入居する場合、ペット一匹につき一般的には敷金が一ヶ月分増えるのだ。仮に三匹連れていくとなると敷金は三ヶ月分、初期費用は30万を超える。

 生活保護の場合は新居の敷金も補助してくれるのだが、どうやらこれにも上限があるらしい(後に初期費用の上限が判った。27万2000円。これが初期費用の上限だ)。ましてやペットが多いから敷金が高いとなったら……これが認められるかどうかは甚だ不透明だ(これについては引越し後に改めて報告しようと思う)。

 ついでに言うと、ペットがいる時は敷金・礼金とは別に退去時の清掃費を先払いで請求される場合もある。ある物件の場合は10万円を別途で請求されると不動産屋さんに通知された。清掃代の先払いは区の補助を受けられない。

 これはかなりヤバいので、その物件は今のところ避けている。


 物件探しと並行して、僕は猫の里親も探し始めた。家族も同然なので辛いのだが、一番若い猫を残して残りの二匹を里子に出すことも覚悟しなければならない。

 一匹だけなら辛うじてなんとかなる。

 だが、二ヶ月経った今も里親は見つかっていない。


 誰か、猫を飼いたい人がいたらぜひ連絡して欲しい。どちらの年齢も18ヶ月くらい、一匹はミケのメス(マロン)、もう一匹は真っ白なオス(シロ)だ。

 ミケは賢く、白い子はとっても甘えん坊。関東圏なら引き渡しは難しくない。


 二匹ともかわいいので手放したくはないのだが、こればっかりは、ねえ。

 

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