退院後

 4月の一ヶ月間の記憶は曖昧だ。

 なにしろ何も治療していないので症状はほぼ入院前と変わらない。

 つまり僕は

  ・言語障害

  ・知覚障害

  ・歩行障害

  ・尿失禁

 を抱えた立派な障がい者として生まれ変わっていた。


 さて、そんな障がい者には当然行政からレッテルが貼られてしまう。

僕の場合は

 生活保護+要介護2

と認定された、らしい。

 5月9日の手術後に上記したほとんどの症状はおさまったが、それでもこのレッテルは残っている。なので今日もヘルパーさんが来るし、相変わらず仕事は見つからない。

 尤も、まだ働ける状態ではないのだが。


+ + +


 生活保護に関して僕はさしたる劣等感は感じていない。特に僕の場合、脳内の髄液が過剰分泌された? ことによる水頭症が原因なので、正直言って僕は悪くはない。

 皆さんも、税金は払っていると思う。僕はその今まで払った税金の一部を使って生活保護を受けている訳だから、何ら恐る必要はない。

 まあね、そうは言っても「今は生活保護を受けている身でして」と自己紹介すれば、ほとんど全ての人が哀れんだ目で僕を見るのだけれど。


 一方の介護2だが、これは介護保険で集まっているお金が使われている。

 要支援と要介護には等級があって、要支援の場合は1と2(1が軽い)、要介護の場合は一番軽くて1、一番重いもので5が付与される。

 調べてみたらこれは思ったよりも重要そうで、かつほぼ全ての人がいずれ該当するようになるため、ここでまとめておこうと思う。


⚫︎要支援1とは要介護認定の中では最も軽度で、非該当(自立)に近い状態です。

ケアを受けなければ生活ができないほどではありませんが、立ち上がりの動作や家事などに、部分的に見守りやサポートを必要とします。

【介護にかかる時間の目安:25分以上32分未満】


⚫︎要支援2とは、介護を必要とする状態ではないものの、一定の社会的支援を必要とする状態です。

生活習慣の改善や心身状態の悪化を防ぐための運動など、介護予防への取り組みが求められます。

【介護にかかる時間の目安:32分以上50分未満】


+ + +


⚫︎要介護1とは、食事など身の回りのことはほぼ自力で行えますが、部分的に介護を必要とする状態です。

要支援2に比べると日常生活における複雑の動作を行うことが難しく、心身機能の低下がより多く見られます。

一方、要介護2よりも日常生活でできることは多く、理解力の低下もより軽度です。

【介護にかかる時間の目安:32分以上50分未満】


⚫︎要介護2とは、日常生活を送る上で見守りや介助を必要とし、家事に加えて食事や入浴、排せつなどの動作でも支援が欠かせない状態です。

要介護2になると認知機能の低下が見られることも多く、お金の管理を自分で行うことが難しくなるケースも少なくありません。

身体機能の維持ができないため、一人で立ち上がりや歩行をすることに危険を伴うようになってきます。

【介護にかかる時間の目安:50分以上70分未満】


⚫︎要介護3とは、立ち上がりや歩行などの動作を自力で行うことが困難で、日常生活のほぼすべてに介護を必要とする状態です。

食事や排せつも自分一人では行うことが難しく、多くの場合認知症の症状も見られます。

要介護3になると生活上で全面的なケアを必要とし、見守りや介助は常時必要です。在宅介護では昼夜問わずの対応となるため、家族介護者への負担が増えます。

【介護にかかる時間の目安:70分以上90分未満】


⚫︎要介護4とは、日常生活を一人で送ることが困難であり、認知機能の低下が見られる状態です。

立ち上がる・歩くといった基本的な動作が難しく、自力で座っていることもできません。

要介護4になると周囲の人との意思疎通も困難になってくるため、介護者の負担が大きくなってきます。介護負担軽減のため、老人ホームへの入居を前向きに検討するケースも多いです。

要介護3に比べると身体機能のみならず、思考力・理解力の低下も著しい傾向があります。

【介護にかかる時間の目安:90分以上110分未満】


⚫︎要介護5とは、要介護区分の中では最も重度な状態です。

1日の大半を寝たきり状態で過ごし、ベッドの上で寝返りをする際にも介助が必要になってきます。

要介護4の段階でも日常生活にケアが欠かせませんが、要介護5では心身機能がさらに衰えた状態であり、介護に必要な時間がより長いです。

【介護にかかる時間の目安:110分以上】

[出典:https://www.minnanokaigo.com/guide/care-insurance/degree-of-care/?glnw=&glpm=&glkw=&glti=&gllc=&glmt=b&glfi=&gldm=&gclid=CjwKCAjwhJukBhBPEiwAniIcNaZKo69iZvXCbzOG16TMouhzWAo8Fa_49EvIuwKevKfCU5G7c9cXHBoCuNkQAvD_BwE]


+ + +


 入院中は看護師さんからたびたび今日の日付とか今日は何曜日かを訊ねられて甚だ鬱陶しかったのだが、今にしてわかる。これは認知機能のレベルを測っていたものなんだね。

 実際、他の患者さんと話しているのを時折耳にしていたのだが、高齢者は特にここいら辺が曖昧だ。このデータと身体状況を病院が報告し、最終的にレベルを行政側が認定するという仕組みなのだろう。


 でも、こういう等級があることって、特に若い人たちはあまり知らないように思う。実はこれって老化とは必ずしも関係がなくて、事故にあったとか、脳に機能障害が発生したとかでもお世話になるグレーディングだ。

 例えば、昔に首都高で事故って全身不随になっちゃったケンタロウさん(←男子ごはんの初代MC)なんて確実に要介護5だと思う。


 ちなみにこのグレーディングは定期的に見直される。老化が原因で発生している場合には徐々に等級は高くなるだろうし、逆に僕のように脳障害が原因の場合には徐々にグレードが軽くなる可能性もある。


 もちろん、こうした等級のお世話にならないことが一番なのだが、万が一のために一応心の片隅には覚えておいて損はない、と思うよ。

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