二度目の入院
5月8日は午前中に来て欲しいとのことだったので、介護タクシーは11時に迎えに来てくれた。
前回の入院の時は色々持って行ったのだが、ぼーっとしていたので今回は荷物が少ない。持ち込んだものは以下の通り:
・iPhone
・Apple watch
・iPad
・充電器類
・寝巻き用のスエット(下だけ)
・靴下二足
・院内用のスリッパ一足
・オムツの替え5セット
Dバッグが小さいのでこれが限界だ。
というか、なんでDバッグで行こうと思ったのかそれが謎。思考力の衰えは恐ろしい。
ともあれ、病院に着いて入院手続きを済ませたところですぐに病室に通される。
今度は6A−13。前回と同じフロアなので看護師さんとも顔馴染みだ。
看護師さんに促されて荷物を棚にしまい、することがないのでベッドに寝そべる。
手術まで担当してくれた看護師さんはとても元気で、ハキハキと返事をしながらテキパキと準備を進めてくれる。
最初はお約束の名前の確認、そして誕生日を申告する。血圧と体温の測定をした後でお馴染みの点滴。
入院体制は整った。
翌日、9時前に手術の準備が始まった。
最初に患者服に着替え、なぜか専用の靴下を履かされる。理由はうろ覚えだが、手術中、下半身に血液が溜まりすぎないようにするんだと説明されたような気がする。
そして出発。
手術室まではベッドに乗ったまま運ばれる。専用のエレベーターで手術室のある5階へ。
全身麻酔と聞いていたので、僕は呼吸器を挿入されることを密かに恐れていた。
だが、それも全くの杞憂に終わったとここでは書いておきたい。
最初に手術台に移されて、両手を広げた状態で軽く固定される。そして注射。一本注射されただけで僕の意識はぶっ飛んだ。
+ + +
次に目が覚めたのは病室の中だった。
入院した時は6A−13、今入っているのは6A−21?
手術が終わったらお部屋も変わっていた。
痛み止めが効いているのかこれといって痛みはない。そもそも、呼吸器を挿入された記憶も皆無だ。
ただベッドの上で目が覚めた、そんな感じ。
一応気になるので絆創膏で覆われた傷口を手でなぞる。
どうやら右脇腹と右側頭部、それに後頭部に傷があるらしい。
でも、痛みはない。絆創膏が貼られていたが、ただそれだけ。
ところで最近の手術では縫合はステープラーみたいなものを使うのね。上から触ると何やらゴツゴツしたものが指に当たる。
気がついてしばらくしたのち、看護師さんが様子を見にやってきた。
「気づきましたか?」
今の時間は午後12時30分くらい。かれこれ3時間以上失神していたことになる。
「今日は絶食です。明日からはお食事が食べられるようになると思います」
「……はい」
たどたどしくそれだけを口にする。
食事は全くしたくなかった。
それよりも頭が痛い。どうやら脳圧が変わって痛みが出ているようだ。
担当の看護婦さんにその話をすると、強力な頭痛薬を出してくれた。
ちなみに僕が受けた手術はどうやらVPシャントらしい(註:事前説明は全くなかった。これは覚えていないのではなく、おそらくは医者がこちらの知能レベルを勘案して説明しなかったものと思われる)。
VPシャントは脳室から腹腔にシャントを通して余剰な髄液を腹腔に排出するというもの。皮下を通してシリコン製チューブを脳から腹腔にとどかせ、これにより脳の中にたまっている脳脊髄液を腹腔に流して排出する。 世界的に一番多く行われている水頭症の治療法だそうで、ちゃんとした実績はあるようだ。
しかしながら、この流量調整が難しいらしい。流れすぎると低脳圧症を起こして頭痛やらめまいやらが起こるし、逆に流量を絞りすぎるとなんのためにシャントを通したのかわからなくなる。
僕の場合は今日現在(6月14日)もこの調整が完璧にはなっていないようだ。
頭が痛いという症状は入院中にほぼ解消したが、相変わらず首の後ろ、首の付け根付近が痛いし肩も凝る。
入院中は回診のたびにそれをT医師に訴えた。
VPシャントも耳の後ろに可変バルブがあり、外からこれを操作できる。
そこで少しずつ流量を絞っているのだが、それでも頭痛は治らない。
それに首もめっちゃ痛い。
起きた状態では10分も過ごせない。すぐに横になってしまう。
「これはなんとかならないんですか?」
僕はT医師に訊ねた。
「うーん、慣れるしかないかも知れないですね」
慣れる? そりゃ無理だ。
それでもなんとか日々を過ごし、食事はベッドを40度に起こして休み休み食べるくらいには回復した。
手術後10日で抜糸。とはいってもステープラーを外すだけなのでかなり機械的だ。
T医師が専用の器具を使って頭とお腹のステープラーを外していく。
全部で何針だったのだろう? 傷口はそんなに大きくないが、結構な数のステープラーが外された気がする。
ついでに絆創膏ともおさらば。頭についていた色々なものがなくなったら少し気分が晴れた。
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