概要
たかが豆腐、されど豆腐。朧月夜の人情話、全ての道は豆腐に続いてゆく。
大阪の街はずれ、人情味あふれる南町三丁目の一番地に昭和レトロの一軒の古めかしい豆腐屋が営まれていた。近所の人々からは、損得を考えず、商売気のない「お多福おばあの飛龍頭店」と親しまれてくる。ところが、店主が年老いて、創業以来七十有余年の歴史の幕が閉じられてしまう。孫娘となる主人公の由香は、シングルマザーの高校生であり、幼い頃から祖母に可愛がられて育ってきた。十日えびすを迎えようとする、最後の閉店の日に由香は一念発起し思いきった行動に移してゆく。なにわの人情夜話と共に人々への愛を綴る物語となります。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!祖母から孫へ、受け渡されるものは積み重ねた人情
大阪の下町にある『なにわの豆腐屋一番星』は、レトロな風情と損得抜きの商売で住民から親しまれる名店だ。しかし今、店主の老いを理由に惜しまれつつも70余年の歴史に幕を下ろそうとしていて……店主の孫である由香は決意したのだ。祖母と住民たちが作り上げてきたこのあたたかな場を守るため、豆腐作りを習い、自分がこの店を継ぐ!
本作の肝は「継承」です。主人公の由香さんは、お金だけでは計れない情というものをやりとりする祖母や住人の姿を見てきました。だから彼女はアイドルやスポーツ選手ではなく、祖母へ憧れを抱いたのですよね。
ここがただ売り買いするだけの場ではないからこそ守りたい、人として受け継ぎたい、…続きを読む