高度成長期が終了、成長率も徐々に低下しつつあった1970年代後半。日本人である真奈・りさは婚約者と結婚するため、アメリカはデトロイトへと向かう。そこから始まる異文化生活はけして楽しいばかりのものではなかったが、彼女は折れることなく奮い立ち、生き抜くための挑戦を開始した!
真奈さんの半生を描くこのエッセイ、ひと言で感想を述べるならジェットコースターというやつですね。デトロイトで結婚! そこから必要性に駆られて様々な仕事を請け負う! 危険な目に合ったりしつつも折れることなく挑戦挑戦挑戦! 流れをなぞるだけでも興味深いのですが。その強さの根底にあるものが日本人としてのプライドだという点、思わず惹き込まれました。
当時のアメリカで日本人が生きることの難しさは本文に綴られている通りですが、だからこそ、この生々しい時代のど真ん中で真奈さんが周囲と情を通わせて生き抜いていく姿は頼もしく、爽快なのです。
急勾配な人生録と波瀾万丈な挑戦劇を同時にお楽しみください!
(「なにはなくとも世は情け!」4選/文=高橋剛)