概要
少年王子カウティスは、王城の小さな庭園で、国を清水で潤す水の精霊に出会う。
その美しさと特別感に魅了されて会いに行くうちに、王子としての自覚と、国を守る水の精霊への気持ちを育てていく。
次第に心を通じ合わせる王子と水の精霊だったが、二人の特別な関係は、波紋のように周囲に影響を及ぼしていった。
やがて大人になったカウティスは、人間と精霊という異種族間の垣根を越えて固い絆で結び付くが、水の精霊の特別な力を欲する者や、人間と精霊の結び付きを許さない者が二人を放っておかず……。
※33話までは少年期、34話から青年期になります。
展開は遅めだと思います。
※「小説家になろう」さんにも投稿しています。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人と水の精霊が織り成す美しい恋愛ファンタジーに虜になる!
全381話完結です。
これを読まずして何を読む、というぐらい素敵な恋愛ファンタジーです。
主人公の第二王子カウティスと水の精霊セルフィーネ、この種族を越えた二人が物語の核であり、二人を中心に様々な要素が組み合わさって構成されています。
二人はもちろんのこと、全ての登場人物が魅力に溢れ、中には嫌な者も登場しますが、それらも含めて愛しく感じてしまいます。
それは偏に作者様が紡がれる優しい文章、そして描きこまれた人物描写のなせる業でしょう。
本作の主題はやはり「愛」だと私的に思います。愛にも色々な種類があります。
情愛には両親、兄弟姉妹、恋人、友人等が含まれる一方、憎悪にはそれこそ敵が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ロミオとジュリエットより障害が多い(!)ロマンティックファンタジー。
文章が淡々としつつも、しっとりとした情緒にあふれた世界です。
第二王子と水の精霊の恋物語です。
水の精霊は、とても美しいのですが、人間が触れることはできません。
表情もほとんど動きません。
まさしく、精霊です。
そんな相手と恋愛。
もう、障害だらけですよ!
でも、本気の恋愛です。第二王子は、水の精霊しか目に入りません。
ちょっとでも、他の男が(いや女でも)水の精霊のお気に入りになったか? と思うと、嫉妬しちゃう。
そこも可愛いです。
そして、何より、水の精霊───セルフィーネが、話が進むにつれて、
めちゃくちゃ可愛くなるのです。
もう、動作が。言うことが。可愛くてしょうがない。いつま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!縦糸に恋模様、横糸に神話と歴史と人の生き様。織りなされる、珠玉の物語
私は、子供の頃から恋愛ものが苦手でした。しかしながら、こちらの物語は『恋愛ものが苦手』で避けては、絶対に後悔するところでした。
確かに、主題は第二王子と水の精霊の恋模様ですが、それは、言うなれば物語という布を織りなす縦糸で、横糸には細密な神話観、国の成り立ちや国家間の関係性といった歴史観、正しくその世界に生きていると感じられる登場人物たちの生き方、考え方などが、びっしりと織り込まれています。
そこには、ただ主人公二人の恋を成就させることが全てといった単調さはなく、その時代その状況に置かれれば、人は何をどう選択し、どう生きるか、といった人間性の探求のような深さがあります。恋愛ものがお好きな方は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!恋愛を主軸とした美しい世界観と愛に溢れる登場人物が魅力的なファンタジー
「人間の王子」と「水の精霊」の異種族間恋愛を描いたファンタジー作品です。
私が特に魅力的だと感じたのは、圧倒的に魅力的な登場人物たちですね。
魅力的という言葉が渋滞しておりますが、それほどに魅力的です。
子供ながらに負けず嫌いで努力を惜しまない真っ直ぐな主人公に、徐々に感情を開花させてゆくヒロインなど、とにかく主要な人物に好感が持てます。
また、彼らを取り巻くキャラクタたちも魅力的で、皆がそれぞれの意思を持った、生きた登場人物であることを感じさせてくれます。
兄弟愛・親子愛など、恋愛以外にもたくさんの愛を垣間見ることができます。
なかには良からぬ考えを持つ人物も登場しますが、彼らもし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!感情にまで鮮やかな色を感じる良作です
火の国ネイクーンを守護する水の精霊、そして幼くして出会った第二王子。二人が何年にも渡り、幾多の困難を越えて織りなす、恋愛を主軸に置いた群像劇です。
何よりも圧巻は、無駄がなく端的な筆致です。極力過分な描写を省き、それでいてぎゅっと上手に詰められた情景や心情は、本当に色鮮やかで躍動感に溢れ、読み進めていくほどに、ありありと絵が浮かんできます。それでいて読み易い事が、お勧めする理由のもっとも大きなひとつです。
同時に物語を彩るのが、個性的な多くの登場人物達です。群像劇に於いて個性の書き分けは凄く難しい部分のはずですが、非常に巧みに色分けされている為、ここもまた、「これはどこの誰だっけ…」等、引…続きを読む - ★★★ Excellent!!!信じてるぞ、ハッピーエンドタグ!
著者も書いているように、展開はすごく穏やか。
でありながら、それが苦なのではなく、じんわりと、しかし確かな変化の歩みとして受け取れるため、確実に作品の魅力として昇華されている。
日一日を刻むように紡がれていくお話と、確実に成長を続けるカウティス王子、そして彼に感化されているのか、変化していく水の精霊。
しかし、カウティスは王子という高貴な立場で、精霊は人知を超える力を持った存在。
その二人の変化を、ただ眺めているだけの人間だけではなく、良くも悪しくも二人に影響を及ぼす影が存在する。
個人的には穏やかに結ばれてほしいなぁ、と願うばかりなのですが、この手の話はこじれてなんぼという側面もあります…続きを読む