ロミオとジュリエットより障害が多い(!)ロマンティックファンタジー。

文章が淡々としつつも、しっとりとした情緒にあふれた世界です。

第二王子と水の精霊の恋物語です。
水の精霊は、とても美しいのですが、人間が触れることはできません。
表情もほとんど動きません。
まさしく、精霊です。
そんな相手と恋愛。
もう、障害だらけですよ!
でも、本気の恋愛です。第二王子は、水の精霊しか目に入りません。
ちょっとでも、他の男が(いや女でも)水の精霊のお気に入りになったか? と思うと、嫉妬しちゃう。
そこも可愛いです。

そして、何より、水の精霊───セルフィーネが、話が進むにつれて、

めちゃくちゃ可愛くなるのです。

もう、動作が。言うことが。可愛くてしょうがない。いつまでも愛でていたくなる可愛さです。

ストーリーは、静かなようでいて、一難去ってまた一難、この先どうなっちゃうの? という、先が気になってしょうがない展開ですよ。

はじめは、第二王子が8歳、かなりお子様な年齢から始まりますが、9歳、10歳……と毎年追っていくわけではないので、ご安心を。
話がある程度進めば、「ああ、あの8歳の頃の、第二王子とセルフィーネの関係が、とても大事だったんだな。」とわかります。
この子供時代があってこその、二人の関係性なのです。

二人を取り巻く登場人物も魅力的で、応援したくなるキャラ、たくさんいます。第二王子のお兄さんも、弟も、好き。
女性キャラも、応援したくなる!

ぱっと見、派手な文章ではないかもしれませんが、読めば読むほど、セルフィーネの人ではないからこその美しさ、かつ可愛さに、読者は虜になるでしょう。

オススメですよ。
ぜひ、ご一読を!

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