砂漠の夜の冷えと、朝の光の刺すような眩しさ。
その温度差まで、文章で連れていかれる作品です。
読み始めた瞬間から、砂を踏む足裏の感触と、風に混じる乾いた香りが鼻先に来て、気づけばこちらの呼吸まで、乾いた風に馴染んでいきました。
青い瞳の盗賊ラズールが出会うのは、記憶を失った少女シャーラ。
彼女の正体を匂わせる"印"と、「伝説の都」へ向かう縦軸が最初から強い引力になっていて、ページをめくるほどに謎は深く、旅は過酷に——なのに二人の距離だけが静かにあたたかくなる。
このバランスが本当に気持ちいいです。
そして刺さったのが、"名付け"の場面。
名前を与えるって、優しさであり責任であり、同時に「もう無関係ではいられない」という誓いみたいなものでもある。
その一瞬にロマンスの火種が灯る感じがして、心臓を掴まれました。
過酷な旅路の気配、迫る影、守ることの代償。
「宝」ではなく「ひとりの人」として彼女を見ようとする視線が、ラズールの不器用な優しさとして滲むたび、胸が熱くなります。
ここまで読んで気になった人は、迷わず1話へ。
砂漠の風と、謎と、切なさの予感に、きっと持っていかれます。
腰に王(スルタン)の所有印を宿した、謎の銀髪美少女。
異世界からの遺物を追う青い瞳の盗賊。
裸で砂漠の世界に出現した、いかにも訳ありな少女と関わりになるのは、明らかに危険なこと。
それでも、盗賊であるラズールは彼女を助けることを決意します。
記憶喪失の少女に名前を付けるシチュエーションにドキドキしました。
名前を与えることで、男が彼女をどう思っているのか、何を思って名付けるかが明らかになってしまうし、名前を付けるという行為自体が、「俺のもの」という証のようで。
シャーラザッド(シャーラ)と名付けられた少女と、青い瞳の盗賊ラズールのドラマティックな物語の幕開けです。
絶対、次々に邪魔が入るでしょう。運命はけして楽はさせてくれないはず。
シャーラの失った記憶とは?
これまた理由ありに見える、ラズールが大切にしているものは何か?
これからの物語への期待で震えています。
圧倒的な世界観。エキゾチックな砂漠世界の風物描写も必見。
どっぷり浸って読めること間違いありません。
ぜひ楽しんで読んでください。
天に現れる門から降る謎の遺物、それを手に入れるために砂漠へ向かった盗賊ラズールは、記憶を失った少女に出会う。
彼女は生きた遺物、彼等の呼ぶ『宝』だった。
「伝説の都イラムへ行け」
その言葉のみを記憶する少女の腰には王の花押がある。それはスルタンの所有物の証。
預言者が『至宝』と呼ぶ彼女は一体何者なのか。
ラズールは少女をシャーラと名付けて保護し、伝説の都イラムを目指します。
アラビアンナイトを思わせる幻想的な世界と、盗賊達の思惑、そしてラズールの隠された過去。
そして記憶を失ったヒロインは何者なのか。
中盤に差し掛かっていますが、いまだ謎は深まるばかり。
ヒロインを狙う別の盗賊団もいて、ハラハラがおさまりません。
感情を抑えるラズールも徐々に突き放してばかりではいられなくなり、この先の二人のロマンスにも期待できます。
神秘の国アラビアを舞台に、幾つもの謎が交錯します。
この謎が全て解けた時、二人がどうなっているのかかとても楽しみです!
ミステリー要素も含んだ正統派冒険ラブファンタジー。
これはぜひおすすめします♡
砂漠の中でのアラビア風の世界観をモチーフに、凛々しく頼もしい主人公、ラズールは後宮から抜け出した銀髪の美女シャーラザットと出会い、彼女を助けます。
訳ありのシャーラザットですが、とにかく美しいので何かと狙われます。危険なのでラズールが守るのですが、徐々にラズールに惹かれていくシャーラザット。しかしシャーラザットは「王の宝」。冒険の途中でラズールの正体も徐々に明らかになり…!
しっかりとした筆致で書かれたアラビア冒険ラブストーリー。
物語の雰囲気がよくてとても面白いので、ぜひ皆さん読んでみてください。
ロマンチックな恋とワクワクする冒険に誘ってくれる物語です!