第10話 平成の大事件

*平成の大事件Ⅰ ( 阪神淡路大震災 )

1995年1月17日午前5時46分、兵庫県南部淡路島沖を震源とした、『阪神淡路大震災』が発生した。マグニチュード7.3、最大震度は7であり、当時戦後最大、戦前の関東大震災(1923年発生)を含んでも近代で最大の地震ではないかと言われていた。 


俗に『11の入っている日には大災害が起こりやすい』とされているが、この震災もその例外ではなく11の数字が入っていた。


海の下が揺れる『海溝型』の地震とは反対に、陸地の下が揺れる『直下型』の地震であり、縦揺れが多くそのことがより一層被害を拡大させた。災害発生後ぼくもテレビでその様子を見ており、阪神高速道路が横倒しになっている様子や、被災地への救援物資がなかなか届かないことなどを眺めていた。


けど、どこか遠くの『異国の地で起こっている出来事』のような感じがして、全く実感が湧くようなものではなかった。この出来事が社会に与えた影響は大きく、これがキッカケで日本の耐震強度が見直されて改革が行われたり、バブル崩壊後の経済がさらに下向いてしまったりと様々な変化が訪れた。



*平成の大事件Ⅱ ( 地下鉄サリン事件 )

 1995年3月20日東京メトロ千代田線、丸の内線、日比谷線の計5ヶ所でカルト教団である『オウム真理教』によって猛毒のガスである『サリン』がまかれた。死者数13人、約6300人が犠牲となる世界的にも類を見ないほどの大規模なテロで、日本中を震撼させた。


ぼくの父はこの電車の一本前の電車に乗っていたそうだが、お笑い芸人の明石家さんまさんが日航機墜落事故の時に、乗る便を変更したお陰で助かったりと、人生とは常に綱わたりであるということを思い知る出来事は多い。死刑囚が計13人になる大規模判事であり、逃亡犯がなかなか捕まらなかったり、日本で『宗教』に対して負のイメージがつきまとうことになった。この出来事も社会に与えた影響は大きく、日本の安全神話はもろくも崩れ去って国防を不安視せざるをえなくなった。


また、小ネタだがポケモン赤緑の地下通路で、ロケット弾が毒ガスをまくイベントがカットされたりもしたようだ。ともかく、この二つの出来事があってから、日本の『終末論』が加速するようになり、1999年の世紀末を嫌でも意識するようになった。



*秘密基地の話

 1年生の終わり頃になると、ぼく、はたの、しょうちゃん、かわのくん、もっちゃんと近所の空き地でよく遊んでいた。そこは50m四方くらいの、5つの大きな土地が階段状にあって、ススキがいっぱい生えているという所だった。

ぼくらは当時みんなの家から近くて比較的きれいな『下から2番目の所』が好きで、そこでよく学校帰りに屯していた。


「ここはほんとにいいとこだよね。大声で話しても誰も怒らないし、景色もきれいだし。ススキの枝にランドセルが引っかかって、もうこんなに傷だらけになっちゃったよ」

「俺はしゃべってるより、格闘したいかな」


 もっちゃんの問いかけにかわのくんが応じていると、しょうちゃんが突然なにか思い付いたようだ。

「そうだ、ここにみんなの秘密基地を作らない?」

「名案だね!そうしよう」


ぼくはしょうちゃんのその魅力的なアイディアにすぐさま飛びついた。

「じゃあまずは手分けして、材料を集めようよ」

「あとは基地の場所を決めて、地面をきれいにしなくちゃね。せっかく作るんだし」


 かわのくんともっちゃんもわりと乗り気で、しょうちゃんの案に賛同してくれた。そしてぼくらは、なぜかその辺に落ちていた木の板をいっぱい拾ってきて、みんなで協力してせっせと基地を組み立てて行った。

 それから1時間ほど作業をしていると、みんなと少し離れたところにいた、しょうちゃんが、ぼくに向かって手招きをしていた。不思議に思って導かれるままに近づいて行くと


「ねえねえ見てよ、けんちゃん」

しょうちゃんにそう言われて見てみると、そこには野球ボール大のまん丸の石がいくつか転がっていた。

「うわ~凄い。ドラゴンボールだあ!」


 もちろんそんなはずはないのだが、当時のぼくは『本気で』これが本物のドラゴンボールだと思い込んでいた。数が8つあるとか、同じところに固まって全部そろっているとか、そんなことはどうでもよかった。ただ、みんなと宝物を見つけたことが嬉しくて、話し合った結果、ぼくが代表して持って帰ることになった。


「1年経ったら復活するから、その時になったらみんなに知らせるね!」

「うん、ぜったいだよ!」

 ぼくの提案に、しょうちゃんはかなり興奮して、声を荒げながら応えていた。

「OK~」 

「ほんとにそうだったら見せてよね」


 かわのくんともっちゃんは、あまり本気にしていなかったのか、しょうちゃんより気のない返事をした。そしてそれからというもの、基地が完成してからは、たまにみんなで集まってはその話をしながら遊んでいた。

家に帰ってからも、ぼくは思い出した時に机の引き出しを開けては、ドラゴンボールが復活していないかを、ワクワクしながら確認するのであった。




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