第2話 甘える事


褒めに褒められて頭がふわふわする中


「……じ。実は今女中さんの中で流行っているロマンス小説があって私もハマってまして。その小説の主人公が素敵な洋装の女の子でその話をしたら叔父様が街で買ってきてくださったんです。今日はその…お洋服を着た姿を1番早く伯爵様にお見せしたくて」

と照れる己を誤魔化すために詳しく説明をする恋


「それは嬉しい限りだ。ところでそのロマンス小説の名前を聞いても?」


「へ?え、えぇっと…き、"キャラメル味の口吸いを"…という作品です。」


「ほう…それはまた随分西洋チックで直球なタイトルだな。」

恋が読むには少し意外だったロマンス小説のタイトルを聞いて思わずそう口にする


「そうですね。なにぶん今まで見たことのないジャンルでしたから読んでいて私は恥ずかしくなるくらい甘いロマンス小説なんですけどすごく面白くて」


「そうか、なるほど…許嫁殿もやはり年頃の女性だな」


「!そうでしょうか…私なんてまだまだ子供ですよ…」


「?そうだろうか…」


「そうですよ。小説の女主人公はとても積極的で恋人に膝枕したりしてて私もそれくらい積極的になれたらな……って……あれ?あれ??いや、わ、忘れてください!今のは!!」

とつい口を滑らせて慌てて訂正をする恋


「……許嫁殿は膝枕をしてみたいのか??」

恋の以外な願望に目を少し見開く


「ふぇ!?ち、違くて!その…えーと、膝枕じゃなくてもいいのですが。は、伯爵様も偶には私に甘えてくれたらなって……いつも私ばかり甘えている気がして…」


「ふふっ、許嫁殿は本当に面白いことを言う。」

笑みをこぼす暁都


「け、結構切実な悩みなのですよ!」

顔を真っ赤にする恋


「…俺のような者が許嫁殿に甘えて良いものか…」


「良いに決まってます!」

とほぼ勢いのまま言葉を口にする。


「…そうか…なら、今日はその言葉に少々甘える行動を経験しても良いだろうか?」


「はい!勿論です!」

暁都の珍しい発言に恥ずかしくなりながらも目を輝かせる。


「…そうだな…では………」

と言い言葉をつまらせる暁都


「??どうされましたか」


「いや、誰かに甘えたことがなくてな……どうしたらいいものか……」


「へ?そ、そうですね…うーん…」

と暁都の思わぬ返事に恋も一緒に悩んでしまう



「……ふむ、では許嫁殿のいった通り膝枕を頼もうか」


「は、はひ!」

と唐突に答えを見出した暁都に裏返った声で返事をするのだ




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