第11話 貴方としたい100の事

またしばらく馬に揺られながら進む


恋が通ってきた街を通り抜けて散り始めた桜の木を通り過ぎた頃


しばらく会話がなくしかし心地の良い沈黙を感じていた二人


「ふふ…」

と何の前触れもなく嬉しそうに笑う恋


「?どうかしたか、許嫁殿」


「いえ、伯爵様と一緒に何かをするのがとても嬉しくて。この前の散歩も今日のお茶会も乗馬も思い返してたら思わず口角が上がっちゃうんです。」


恋はまるで夢を見ているかのような瞳でそう語る


「…俺も許嫁殿と共に何かをできるのは喜ばしい事だ」


「!良かったぁ、心の何処かでは伯爵様のご迷惑なのではとずっと思っていたのです。」

と眉を下げて笑う


「そんなことはありえないが…そうだな他に俺としたい事はあるだろうか?」

と首を傾げながら恋に問いかけた


「他にですか?」


「あぁ…遠慮はなしだ。思いつく限り教えてくれないだろうか?」


「!……えーと、それでは…

海を一緒に見に行きたいです。

あと、星空を一緒に見たいです。

それから私の…まだ練習中ですがお料理を食べてほしいのと。

紅葉狩りにも一緒に行きたいです。

あとは、洋装でかっぷるこーでなるものもしてみたいですし。

お家でまったり過ごすのも。

後少し遠出して旅行も伯爵様としてみたいです!」


と片手を鞍から離して指を折ったり伸ばしたりしながら暁都とやりたいことを口にする。


「…っは!す、すいません!やりたい事がたくさんあって!!…つい」

と顔を赤らめる。


「いや、聞いたのはこちらだ。それにこれからそれをやっていくのだから問題はなかろう」


「へ?」


「嫌だったか?」


「いえ!私はもし、もしも叶えられるのであればとても嬉しいですけど…伯爵様の負担にはなりたくありません。」


「負担などではない。俺は俺と一緒にいる君に幸せでいてほしいのだ。それ以外に望むことなどないに等しい。だからどうか俺にその願いを叶えさせてはくれまいか?」


「へ?へ?」

と戸惑う恋


「……いや、今のは本心ではあるが少し違うか………会うことも然り、話すことも然り

俺も許嫁殿と時を同じくして何かをするのが喜ばしい事なのでな。

だが、俺はどうもその何かを考えるのが苦手なのだ。許嫁殿の顔を見るだけで満足してしまうからだろうか?

だから、君が俺としたい物事をは俺が君としたい物事なのだが……ダメだろうか?」

と何とも甘いセリフを無表情で口にする


「いえ!ぜんぜんダメじゃないです!」


「そうか、なら君が今言った二人でやりたい事をこれから一緒に少しずつしていこう」


「はい!あ、もし伯爵様がしたい事ができた時はそれもしましょうね!伯爵様が私としたい事は私が伯爵様としたいことでもありますから!」


「!…あぁ、そうするとしよう。」




二人はそう言って笑い合いながら皆乃川の屋敷まで馬を歩かせた。





_______乞い願わくば



海を見る時も星を見る時も


お会いする時もお話しする時も


その他にも沢山、貴方が私と共にする時間の中で物事の中で少しでも幸せを感じる事ができますように。





自身よりも私を大切にしてくれて

一緒にいるだけで喜びを感じてくれる貴方に幸あらんことを












____口約束でしかない二人のしたい事は簡単なものもあればこの時代なかなかに難しいものをある。


そして共に過ごしていく度に一緒にやりたい事は増えていくふと

気づけば100ほど共にしたい事が増えているだろう


しかし、何年かかろうともこの二人はそれを全てやるのだろう。

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