第3話 笑顔のあなたを

有明 暁都を客室へと案内した皆乃川 恋は

2人で向かい合わせに座っていた。



「(わ、私からお話をしなければ……)」

何か話を、と思いながら握っていた手に力が入る恋


「………許嫁殿は…この2年変わらなかったか?」


先に口を開いたのは暁都だった


「は、はい!」


「それは何より……」


「………(えーと…えーと……)は、伯爵様は!」

と裏返った声で会話を続けようとする


「なんだろうか?」

暁都は落ち着いた口調でそれに答える

相変わらず無表情だが声は優しく響く


「……は、伯爵様は…外国に行って…ご病気などはなかってですか??お怪我も……」

落ち着いた暁都に対して落ち着きのない自分を情けなく思い思わず声が小さくなる恋


「あぁ」


「…そ、そうですか…」


「だが…とても辛抱ならない時も少なくはなかった」


「!伯爵様がですか??」


「俺も人間だ。」


「そ、そうですよね…(私は許嫁しっかりだわ…伯爵様が遠いところでお辛い思いをしているのに支えれ差し上げることができなかった……)」


「…そう、落ち込んだ顔をせず、苦しみもありましたが君が…許嫁殿が送ってくれる手紙のおかげで支えられたのだ」

恋の心理を知ってか知らずかそういう暁都


「!わ、私の手紙ですか!」

パッと表情を明るくしたい恋はキラキラとした目で暁都を見る


「あぁ、許嫁殿が送ってくれる手紙には感情がよくこもっていて読んでいて癒される」


「よ、よかったぁ」


「??」


「…実は送るたびに伯爵様は忙しいのにご迷惑なのでわとずっと…ずっと思っていたのです」


その言葉を聞いた暁都は目を見開く


「迷惑などと感じたことは一度もない」


「わ、私も!伯爵様からのお手紙、毎月とても楽しみです何度も何度も読み返しました!」


「む…それは、嬉しいような気恥ずかしいような…」


「ふふふっ伯爵様でも恥ずかしいことがあるのですね」

暁都の思わぬ言葉に笑みをこぼす恋


「ようやく笑ったな」


「へ?」


「2年前まだはよく笑っていたが今日は一度も笑わないと思っていたのだが」


「!!す、すいません!」


「いや構わんさ、2年も会えなかなったのは俺の落ち度であり。こうして再び許嫁殿の可愛らしい微笑みが見れたのだから」


「(そうやって照れることを!)わ、私!おおおおお茶持ってきます!!」

暁都の甘い言葉に思わずその場から立ち去る口実を作り有無を言わさず客室から出た恋だった。

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