恋 願わくば
鴉メルヘン
1章 一年目4月上旬
第1話 子供な私
私 皆乃川 恋には
8つほど歳の離れた許嫁の殿方がいます。
許嫁様のお名前は有明 暁都さん。
澄んだ空色の瞳が素敵な伯爵様です。
今日はその暁都様が我が皆乗せて川家へといらっしゃる日なのです________
日差しの眩い4月の_________正午より少し前の皆乃川家
鏡の前に座る長くふわふわとした黒い髪に黒く大きな瞳の小さな少女
この家のお嬢 皆乃川 恋
「…………………」
「ふふっお嬢様。今日はいつもの身支度の時より落ち着きがありませんね。」
恋の侍女である小町は髪を溶かしている最中ソワソワして落ち着きのない恋に対して微笑ましくそう言う
「そ、そうでしょうか……お、落ち着かなくてわ!」
小町に指摘されて顔を赤くし下を向く
「あら?何故ですか?」
「だ、だって……ソワソワしてるなんて子供みたいじゃないですか……あ、暁都様に見抜かれては恥ずかしいです。」
「まぁ!そんなことを?お可愛らしい…ふふ」
と恋の髪を結いながら小町は笑う
「笑い事じゃないです!」
さらに顔を赤くしてプリプリと怒る
「心配なさらなくても有明伯爵もお嬢様が伯爵様とお会いするのを楽しみにしていたことを知れば喜びますよ。」
「……そうでしょうか……私、暁都様とは2年も会っておりません…もし私を覚えてなければどうしましょう…」
真っ赤だった顔を次は真っ青にする
「あらあら、伯爵様はお嬢様を忘れたりなんていたしませんよ。毎月お手紙だって交換していたじゃありませんか」
「そ、そうですね……よ、よし!私も2年で成長いたしました。き、きっと…今度こそ暁都様の隣に並んでも恥ずかしくないれでぃになってみせます!」
身支度が終わった恋は勢いよく立ち上がったタイミングだった。
________「ごめんください」
低くしかし広範囲は広がる心地の良い声が皆乃川家に響いた。
「…あわ、あわわわ!ど、どうしましょう!?わ、私変じゃないですか?お着物崩れてたりしないですか??」
分かっていたものの尋人に困惑する恋
「どこも変じゃないですよ。お嬢様はとても可愛らしいですから。そ・れ・に
巷で流行っているハイカラな柄の袴に外巻きヘアですから。いつもよりも大人びて見えますよ?」
「ほ、ほんとですか?小町さん!ありがとう!さっそく暁都様をお出迎えに行って参ります!」
すっかり自信のついた恋は小さな足、歩幅で玄関へと足を運んだ。
その様子を小町は嬉しそうに眺めるのであった。
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