(二)-7

 輝彦は定時を過ぎた頃に社に戻り、本来宮山が手配するはずだった原稿の作成依頼をデザイン会社に発注した。それも急ぎで。特急料金がかかると言われて慌てて上司の番田に怒鳴られながら許可を取り発注した。

 そうして輝彦は怒声を浴び続けて神経をすっかりすり減らし、帰宅ラッシュの満員電車に乗って帰宅した。

 1DKのダイニングには、妻の美沙恵は姿がなかった。一歳になったばかりの息子である光彦と一緒に寝室にいるのだろうと輝彦は思った。


(続く)

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