(三)-4

 もうたくさんだった。輝彦は何もかもが嫌になった。このままどこかへ行こう。窓の外をぼんやり眺めながら、そう考えた。

 そうして何度か電車を乗り継いでやってきたのは成田空港だった。

 遠くへ行くからと言って空港に来たのはともかく、パスポートは持っていなかった。そんなものは持ち歩いてはいない。なら成田に来ても意味がないとも思ったが、国内線もあるようだ。

 格安航空会社のカウンターに立ち寄ると、一番遠くへ行ける飛行機のチケットを頼んだ。


(続く)

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