(三)-5

 空港内の狭いロビーで、輝彦は一人立ち止まった。ここで何をどうするか、宿はどうするのか。

 同じ飛行機に乗っていた人たちはすでにホテルのお迎えの車に乗り込んで、空港を後にしていた。

 ここにいるのは、出発便を待つ人と航空会社や空港の制服を着た地上職員と、観光客相手に商売をするアロハシャツを着た地元の人たちだけになった。

 立ち止まっている輝彦を見て、緑地のアロハシャツを着た褐色で短髪の女性が笑顔で近づいてきた。

「ひょっとして今日の宿が決まってなかったりされます?」


(続く)

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