(二)-17

「何言ってるんだよ、そんな金、あるわけないだろ」

 ともかくも、金を要求されても給料日に振り込まれる以上の収入は輝彦にはないし、銀行口座以外に所有する現金はなかった。それどころか、次の給料を減らされたって文句は言えないほどの状況なのだ。輝彦はそう考えると出したくもないため息が、いつのまにか自動的に生成されて口から外へと放出されるのを止めることができなかった。

「とりあえず来月までに一〇〇万欲しいんで。頼むわよ」


(続く)

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