(二)-2

 そう言うと続けて「あ、俺、別件で外出しなくちゃいけないので、出てきますね」とすぐにその場を立ち去った。この宮山は、いつも調子のいいことを言うが、真面目に仕事をしない、デタラメな人間だった。そして毎回、他人に仕事や責任を押しつける、一年上の先輩だった。

「すぐになんとかしろ! 先方はカンカンなんだぞ」

 番田は輝彦に向かってそう怒鳴った。

 輝彦は力なく「はい」と答えて自分の席に戻った。

 輝彦は一年先輩の宮山が手配をしてあるはずデザイン会社に電話した。そのチラシやポスターの原案はどうなっているのか、確認した。

 しばらくの沈黙の後、驚きの回答があった。それは「依頼を受けていない」というものだった。


(続く)

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