第28話 バターシュガートーストと猫耳娘登場だにゃ!

朝目覚めた真人は、食パンに切れ目を入れて、バターと砂糖を塗ってからオーブントースターに食パンを入れていく。10分ほど経ってトーストの焼けた匂いが漂いだした時に、トンボとリルが起きてきた。


「甘いいい匂いがする〜」


「マサト、朝飯かぁ?」


「2人とも、おはよう。あと、ソーセージとスープが温まったらを出来上がるから座って待ってて」


トンボは、リルを抱きかかえて椅子に座る。


「僕、リルって名前になったんだよ」


リルが、トンボに名付けて貰った名前を伝える。


「ん?マサトに名前を付けて貰ったのか?」


「うん!そうなんだ。リル、かわいいでしょう〜」


「そうだな。似合っていると思うぞ。よかったな。リル」


トンボは、抱きかかえながら、頭を撫でる。リルは、嬉しいそうな顔をしてトンボの胸に顔を埋める。


「2人とも、朝ご飯できたぞ」


用意したのは、バターシュガートーストと長いソーセージの盛り合わせとコーンポタージュである。


「うわぁ〜おいしそう」


「相変わらず、美味そうな匂いをさせてやがるぜ」


リルには、食べやすいように平たいスープ皿にコーンポタージュを入れて、ソーセージもシュガートーストも食べやすいようなお皿に入れて地面に置いてあげる。

リルは、トンボの胸からジャンプをして、料理へ一直線に向かう。


「じゃあ、食べよう。いただきます」


マサトが、いただきますと言うと、トンボとリルは、スタートの合図かのように聞き終わった瞬間食べ始めるのだった。


「ふわふわと甘々と濃厚な味が合わさっておいしい〜」


「だな。それと、サクサクなのもうまい!それに、相変わらずこのスープは、うまいな。優しい甘さがあって、朝から幸せな気持ちになるぜ」


「僕も、このスープ好き〜!あと、このソーセージっていうのも、おいしくて好きだよ」


「リルもトンボも、毎回おいしそうに食べてくれるから作った甲斐があるよ。あ!そうそう!今度でいいから、オークの肉を入手してくれないか?自家製ソーセージを作ってみたくてさ」


自家製と聞いた瞬間、リルとトンボの目の色が変わる。真人が、作ったソーセージなら      これ以上の物が出来るんじゃないかと予想したからだ。


「任せろ!今日中に捕まえてきてやるからよ。それと、リルも連れて行く。ゴブリン辺りを狩らせてレベルアップさせようと思う」


「くれぐれも、2人とも怪我のないようにしてくれよ」


「おう。リルがいるからな。その辺りは、気をつけるぜ。マサトは、ここで待っててくれ。夕方には帰るからよ。ほら、それ食ったら行くぞリル」


「うん!わかった〜」


リルは、最後のソーセージを咥えて、トンボの頭の上へとジャンプをして乗る。


「2人とも、本当に気をつけてな〜」


その言葉に、トンボは右手を挙げて返事をする。リルもトンボの真似をして小さな短い前足を挙げて返事をする。

それを見た真人は、思わず笑ってしまうのだ。


それから、かなりの時間が経っただろう。日は完全に頭の上まで来ていて、腹の虫が鳴き始める。


「そろそろ、12時か13時辺りかな?なにか作ろ...あ!さっき屋台を見ていたら秋刀魚があったな。よし!あれしかない」


真人は、おもむろに屋台を召喚して、秋刀魚と七輪と炭を購入する。


七輪に炭を入れて、生活魔法で火を着ける。


「あとは、仰いで炭が馴染むのを待つだけだな」


仰げそうな物を適当に探して、パタパタ仰ぎながら炭がいい感じになるのを待つ。すると、炭の色が赤く変わり、パチパチと音を立てる。


「そろそろ、良さそうだな。あ!網とトングを買い忘れた...うっかりしてたな」


買い忘れた網とトングを買って、秋刀魚の両面に塩を振ってから網に乗せて焼き始める。


「お〜!なんか、こういうのいいな。前世では考えられないスローライフってやつだな」


脂が乗りまるまると太った秋刀魚が焼けていくごとに、いい匂いを漂わせて脂が炭へと滴り落ちる。


パチパチパチパチ


秋刀魚と炭による演奏会が、開かれているような音を立てながら焼けていく様を、いまか今かと思いながら眺める真人。


「にゃ~まだかにゃ〜」


「うわぁ〜びっくりした。え?誰?」


急に、目の前から声がしたと思い、目をやるとピクピク動くカワイイ猫耳とカワイイ尻尾の女の子がいた。


「にゃにゃにゃ、私は行商人のピケにゃ。おいしそうな魚の匂いに吸い寄せられたんだにゃ。もしよかったら、食べさせてほしいにゃ」


まさかの、リアル猫耳娘を間近で見ることになるとはと思う真人。


「構いませんが、もう少し時間がかかるので、お待ち下さい」


「にゃんにゃんにゃん、いつまででも待つにゃ。こんなおいしそうな魚は久しぶりだにゃ」


そして七輪の前で、腰を屈める真人と猫耳娘という面白い構図が生まれるのであった。

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