第11話 イカの姿焼きとビール最高だよね!

キーロン一家に夕食を振る舞ってから、真人は料理長にチーズとバターの作り方を教えていた。それから、お風呂に入ってやっと部屋に戻ってくることができたのだ。


「マサトお疲れ!」


部屋に戻るとベッドに寝転がりながら手を振って労いの言葉をかけるトンボ。


「ふわぁぁ〜本当に疲れたよ」


大あくびをしながら伸びをする真人。


「これから、どうするつもりなんだ?」


「これからね〜...とりあえずは、王国を目指しながら街を転々として屋台を開く感じかな。あとは王都で転生者に会えれば嬉しいな」


「いいんじゃねぇか?俺もそれで構わねぇよ。明日には出ていくのか?」


「できれば明日には出発したいかな?それから、馬車を手に入れたいんだけど、トンボは馬車の運転できる?」


「馬くらい余裕だぞ。じゃあ、服とかも買いに行くか」


トンボは、ベッドから飛び起きて真人の方を向く。


「そうだな。石鹸とかも必要だもんな」


「それについてなんだがよ。教会に行って生活魔法を手に入れねぇか?クリーンて魔法で綺麗にできるんだよ。金さえ出せば手に入るぜ」


「それいいな。じゃあ、明日は馬車と馬と服を買って教会だな。こんな旅なんて前世じゃ考えられなかったし、しかも頼もしい仲間もいるし最高だな」


それを聞いたトンボは照れ笑いを浮かべて頭を掻く。


「俺も、こんな旅が出来るとは思ってもみなかったし、こんな最高の仲間と世界を回れるとは思っても見なかったぜ」


それを聞いた真人も、思わず照れてしまうが、男同士の褒め合いが気持ち悪すぎて話を変える。


「トンボは、酒飲める?」


「あったりめぇよ。だがよ...村の酒は不味すぎて飲めたもんじゃなかったんだわ」


『屋台』


真人は、屋台から銀色のうまいやつを取り出す。酒を使う料理が存在するので、ちゃんと一式酒は揃っているのだ。


「これを飲んでみ。このツマミを引っ張ってこうやって開けて、ぷはぁ~うまい」


トンボも、真似してグビグビと飲む。


「ぷはぁ~うめぇ〜なんちゅう酒だ。シュワシュワしてスッキリしてるが、喉にグッとくるぜ。キーロンじゃねぇが、なんちゅう秘密兵器を持ってやがんだ。ガハハハ」


「トンボ、最高の酒のツマミを作ってやるから飲んで待っててくれ」


まずはタレ用の調味料、醤油大さじ2と酒大さじ2とみりん大さじ2と三温糖小さじ2とおろし生姜大さじ1を合わせておいておく。そしてイカの下処理をして、胴体を約1㎝の幅に切る。下足も食べやすいサイズに切り分けて、フライパンにイカを並べたら、酒を大さじ2杯入れてから蓋をして、やや弱めの中火で2分蒸す。 一旦、イカを別皿に移して、イカのエキスが残ったフライパンにタレ用の調味料を入れて、少し煮詰める。それから、イカを盛り付けてタレを満遍なく掛けてマヨネーズを添えて出来上がり。


「イカの姿焼きできたぞ。これを食べてグビッとビールを飲んでみろ」


イカを素手で掴んで口に運んでから、少し咀嚼してビールをグビッグビッと飲むトンボ。


「ぷはぁ~うっめぇ〜この何とも言えねぇ食感と雑いが繊細さも備えたタレの味!噛むごとに溢れ出てくる旨味!それをこのビールで流し込んだ時の爽快感とうまさがやべぇよ」


真人も、イカをビールで流し込む。


「ぷはぁ~うまっ!生姜の効いたタレが何とも言えないな。あ!次はマヨネーズをつけて食べてみ」


「うひょー少し酸味があるけど濃厚な旨味のあるマヨネーズ...うまい...」


「だが、まだまだ秘密兵器はあるんだよ。この七味をイカにかけて食ってみ」


鼻にツンとくるが、食べたら病みつきになる素晴らしい調味料七味を勧める真人。


「ん?ん?こりゃやべぇ〜な。鼻にツンとくる辛さが食欲を掻き立てる。それに、イカの風味にもよく合うぜ。待てよ...こいつとなら...ガハハハ!反則だぜ...マサトわりぃが、もう1つ作ってくれねぇか?」


マヨ七味を自ら試したトンボは、病みつきになってしまい、もう一つおねだりをする。そして、廊下からまたドタバタと足音が聞こえてくる。これはステーキの再来だなと思うのであった。

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