第4章 冒険者の街
第12話 異世界旅行準備と教会で100人前!?
「まずは、服屋だよな?」
「あぁ〜領主様から一着貰ったが、2着しかないからな。適当に買って行くぞ」
あの後、キーロンから騎士爵に任命するからと何度も引き止められたが、丁重にお断りをして屋敷を出たのだ。その時、高血圧の件とチーズとバターのレシピ代として大金貨3枚も渡された真人。
「本当に爵位の件、断ってよかったのかよ?」
トンボがボヤきながら聞いてくる。
「そんなの貰って面倒くさいことに巻き込まれたくない。俺は自由に旅をして屋台をやって第2の人生を謳歌するんだよ」
「勿体ねぇな。俺ならすぐに貰ってたぜ」
トンボも、本当は爵位など貰う気はないが、冗談でこのような発言をする。真人も、「次そんな機会があったらトンボにやるよ」と言いながら二人で笑うのであった。
その後、目的の服を10着ずつ買って、次の目的地である教会へと向かう。
「これが、教会かぁ。前世だと仏教だったから来る機会なんかなかったもんな」
「マサト、何してんだ。行くぞ」
真人が黄昏れていると、トンボが声をかけてくる。
「はいはい!今行くって」
中に入ると、映画などで見た海外の教会そのものであった。煌びやかではないが、質素でもなく、綺麗に掃除も行き届いる空間である。
「ようこそおいで下さいました。本日は、どのようなご用件でしょうか?」
20代くらいのシスターがやってきて、用向を尋ねてくる。
「俺とこいつに生活魔法を売ってくれねぇか?」
「生活魔法ですね。お布施を頂けましたら、すぐにでもご案内させて頂きます」
ニコッと笑いながら、当たり前かのようにお布施と言う言葉を口にするシスターに、裏では何を考えているのだろうかと思う真人。まぁ、運営していかないといけないだろうから金は大切かと思うのであった。
「おう。すまねぇな。2人分だ」
「えっ?え〜金貨5枚も...」
まさか、こんな言葉遣いの悪く、見た目も平民だろうと思う人物から、金貨5枚もお布施を渡されると思っていなかったシスターは、目を丸くして驚くのであった。ちなみに、金貨1枚10万円くらいである。
「さぁさぁ〜こちらになります〜」
急に猫なで声で案内をするシスターに、真人とトンボは現金な人だなと思うのであった。
それから、石板が置かれた奥の部屋へと案内される。シスターが、石板に向かって呪文のような物を唱えるとただの石板が紫色に輝き始める。
「1人ずつ石板に手を翳してください」
言われた通りに順番に手を翳していく。特に体に変化があった訳ではないので、これで終わりなのかと疑問に思う真人とトンボ。
「これで終わりですか?使い方など教えて頂けるとありがたいのですが...」
「はい。もう記憶に刻み込まれておりますので、いつでもお使い頂けます。例えば、トーチ。このように魔法名を唱えてみてください」
シスターがトーチと唱えると自分の周りが明るくなった。
「お〜マサト見てくれ。火が出せるようになったぞ」
トンボが、何やら騒いでいるので見てみると、指先にろうそくのような火が点いていた。
「お〜凄いな。クリーン。お、お〜なんか体や髪の毛が綺麗に...服も綺麗になってるぞ。シスター、これで使える生活魔法の魔法名を教えて下さい」
「は、はい〜畏まりました。喜んで〜」
無料で教えて貰えるだろうが、丁寧に教えて貰おうと大銀貨1枚を渡す。またもやシスターの目が金貨のマークになる。ちなみに大銀貨は、1万円くらいの価値である。そして、有り得ないくらい丁寧に生活魔法を教えてもらい無事使えるようになったのである。
「シスター、お腹空いた〜みんな待ってるよ〜」
それから、2人が帰ろうとした時、1人の女の子がシスターに抱き着きながら訴えかける。
「もう〜仕事中に、ここに来たら駄目って言ったでしょ。お客様、お見苦しいとこをお見せして申し訳ございません」
「構いませんよ。子供は元気が1番ですからね。もし良ければ食事を振る舞ってもよろしいですか?これでも、料理人でして」
女の子の服装を見ると継ぎ接ぎがされていてあまりいい暮らしはしていないようであった。それを見た真人は、お腹いっぱい何かを食べさせてあげたいなと思ったのだ。
「そんな...お客様に申し訳...」
「気にしないで下さい。トンボは、出来上がるまで子供達と遊んでやってくれないか?得意だろ?」
「任せろ!その代わりうめぇ料理を頼むぜ」
胸を叩いて任せとけと言うトンボ。
その後、申し訳なさそうにするシスターを無理矢理案内させて、孤児院に連れて行って貰う。ちなみに女の子は、トンボに肩車をされている。
「思ったより人数が多いですね。これは、久々に燃えてくるな!ここ勝手に使わせて貰いますね」
孤児院には、100人近くの子供達がいた。こんなにいたらシスターが金の亡者になっても仕方ないなと思う真人であった。早速トンボは、子供達と遊び始めている。真人は、遊びの邪魔にならないところで屋台を召喚する。
「寸胴鍋をいっぱい用意しないといけないな。じゃあ、早速始めるとしますか!」
久々に真人は、100人前の料理に挑もうとしていたのだ。
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