第13話 豚汁とおにぎりと子供達の笑顔!
真人が、寸胴鍋で作っているのは豚汁である。
100人前の材料からまず紹介しよう。
豚バラ肉 (薄切り) 10kgとごぼう33本と大根5kgとにんじん5kgと長ねぎ50本とこんにゃく50個とお湯 (ゆで用) 適量とごま油500gと水50000mlと顆粒和風だし500gとみそ3kgを用意する。
「これを調理するのは、骨が折れそうだ。出来上がるまで子供達が待てるかな?」
真人は、「アハハ」と空笑いを浮かべながら調理を始めるのであった。あ!ちなみに、材料費は4万円くらいかかっている。
まず、ごぼうは皮をこそげ落として、大根とにんじんは皮をむいて下準備をしておく。 ごぼうをささがきにして、水に10分程さらして、大根は薄いいちょう切りにする。にんじんは薄い半月切りにして、長ねぎは斜めに薄く切る。こんにゃくは半分に切って薄切りにする。 そして、豚バラ肉は一口大に切る。それから、鍋にお湯を沸かしてこんにゃくを入れて、アク抜きをしてからお湯を切る 。鍋にごま油をひき、豚バラを入れて中火で炒めて、豚バラ肉の色が変わったら大根と人参と水気を切ったごぼうとこんにゃくを加えて、中火でさっと炒める。そして、水と顆粒和風だしを加えてひと煮立ちさせる。アクを取り除きながら野菜がやわらかくなるまで中火で煮込み、長ねぎを加えてひと煮立ちさせ火を止める。最後に、みそを溶かし入れたら出来上がりである。
「久しぶりに、こんなに作ったから腕が痛いな。今後屋台をやっていくなら必要なことだし、いい予行演習になったな」
そんな独り言を話していると、匂いにつられてシスターや子供達がやってくる。
「おじさん、お腹空いた〜」「僕もペコペコ」「私も〜」
「子供達がすいません。何かお手伝い出来ることはありませんか?」
「じゃあ、おにぎりを作りますので、シスターと子供達も一緒に作りましょう。やり方は、教えますのでこの石鹸で綺麗に手を洗ってきて下さい」
そして、綺麗に洗った子供達から順におにぎりの作り方を教えて握ってもらう。シスターも子供達も初めてのおにぎりで悪戦苦闘していた。出来上がったおにぎりも当然不格好な物ばかりである。トンボは、力が強すぎて石みたいな硬さのおにぎりを作ってしまった。でも、みんな楽しそうにワイワイおにぎりを作っている。
「出来上がりましたね。じゃあ、まずみんなが作ったおにぎりから食べてみよう。スープは、順番に配って行くから仲良く食べるんだよ。いいね?」
真人がそう言うと、子供達はみんな「はーい」と元気良く答える。
「おいしい〜」
1人の子供が、そう言うとみんな食べ始めて、あちこちから「おいしい」と言う言葉が聞こえる。どんな形が不格好でも自分で作ったものはおいしく感じるよなと思う真人。
「おじさん、このスープ凄くおいしい〜野菜もお肉もいっぱい入ってて、ちゃんと味がしておいしいよ〜」
「クニクニしたのもおもしろ〜い」
クニクニしたのは、こんにゃくである。
「ん〜こんなおいしいの幸せだよ〜」
「おじさん、こんなおいしいご飯初めて〜」
子供達は、無我夢中で料理を楽しむのだった。真人は、子供達にわざわざ凝った感想など求めない。子供達の笑顔とおいしいと言う言葉が聞けたことが1番嬉しく感じる瞬間なのだ。
「本当にありがとうございます。子供達が食事の時に、あんなに笑っているのは初めて見ました」
シスターが、真人に感謝の言葉を言ってくる。
「アハハハ、それはよかったです。それよりシスターも熱いうちに食べてみて下さい」
豚汁をよそってシスターに渡す真人。
「お、おいしい...」
シスターは、豚汁のあまりのおいしいに驚く。それからは、シスターも子供達に混ざりおにぎりと豚汁をおいしそうに食べていた。
「真人、大成功だな」
「あぁ、うまそうな顔が見られてよかったよ」
トンボが、真人に声をかけてくる。真人は、笑顔で食べるシスターや子供達の顔を見て、作ってよかったなと思うのであった。
それから真人達は、シスターや子供達に別れを告げて次の目的地に向かう。別れる時に、子供達から「おいしい食事をありがとうございます。また来てね〜」と言われて「また作りにくるからな〜」と別れの挨拶を交わしたのであった。
「馬車と馬を買って次なる目的地に行こう」
「そうだな...その前に何か食べる物ないか?」
「え?さっき食べなかったのか?」
「あんな状況で食えるかよ!子供優先だ」
「トンボって意外に優しいんだな。ほら、サンドイッチ。まだまだあるから歩きながら食べよう」
そう言って2人は、サンドイッチを頬張りながら馬車と馬を購入しに行くのであった。
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