第14話 豚の生姜焼き!改心する盗賊達!

馬車と馬を購入してから、真人は商業ギルドでギルドカードを作って、トンボは冒険者ギルドでギルドカードを作った。作った目的は、身分証を持つ為と領内で屋台を開く為である。勝手にお店を開くことは禁止されているのだ。


「色々準備も整ったし出発しようか?」


「おう!王都に向けて出発だ」


それから、いつものようにトンボが魔物をいとも簡単に倒していた。トンボばかりに任せていられないと真人も参戦するが、なかなかうまくはいかない。しかし、トンボの教え方がうまいのか?次第に、ゴブリンや狼の魔物くらいなら倒せるようになった真人。


「そこの馬車止まりやがれ」


順調に進んでいた旅に邪魔する人物が現れる。山賊のような顔をした男達が馬車の前に立ち抜刀しているのだ。


「お前ら盗賊か?」


トンボは、恐れすら見せずに盗賊へと近付いていく。


「ごちゃごちゃうっせぇな!有り金全部置いていけ!さもないとギャァァァ」


相手が話し終わる前に、トンボが腹を思いっきり殴ってボスらしい男は吹っ飛んでいったのだ。


「「「お頭ぁぁぁ」」」


子分らしき3人組がお頭らしき男の方を向いて叫ぶ。


「お前らも制裁じゃ」


バチコーン!


ズボズボズボズボ!


「なぁトンボ、この首まで埋まった盗賊どうするんだ?」


見事に、トンボによって首まで埋められた4人を見て呟く真人。


「反省するまでこのままにして置こうと思ってるぞ」


「クソ〜俺らをここから早く出しやがれ〜」


バチコーンバチコーンバチコーン


「ゔぅ〜もうやめでぐださい」


トンボは、制裁制裁と言いながら頬に平手打ちをかましていたのだ。それにしても、トンボ強すぎないかと思う真人。


「反省したか?何故こんなことをしているんだ?」


埋まっている四人の前に腰を下ろして尋ねるトンボ。


「村にいても食っていけねぇからだよ。ちくしょー初めて襲って、もう捕まっちまうのかよ」


「お頭〜...」


「君達、前科はないんだよな?」


真人も、腰を下ろして尋ねる。


「ねぇ〜よ。今日で前科持ちになっちまうがな」


「う〜ん?どうしたもんか...まぁ〜まずは、腹いっぱい食ってからだな。トンボ、警戒を頼む」


「はいよ!お前ら邪魔したらわかってんだろうな?」


往復ビンタをする素振りを見せて脅す。すると、盗賊達は「はひ〜わかりましたぁぁ」と言って大人しくなるのだった。


真人は、屋台を召喚して在庫から食材を選ぶ。


「腹が減った男達ならガッツリしたのがいいよな」


豚ロース (薄切り) 1.5kgと薄力粉75gとすりおろし生姜150gとしょうゆ150gと砂糖75gと料理酒75gとごま油75gとキャベツ750gを用意する。ちなみに5人前だ。あ!言い忘れていた。食費は2500円くらいである。


まずは、キャベツの芯を切り落としてキャベツは千切りにする。あ!白米を炊くのを忘れてた。シャカシャカシャカ洗って炊飯器へGO! 次に、豚ロースに薄力粉をまぶす。ボウルにとすりおろし生姜としょうゆと砂糖と料理酒を入れて混ぜ合わせタレを作る。そして、中火で熱したフライパンにごま油をひいて豚ロースを入れ火を通す。両面にこんがりと焼き色が付くまで焼いてタレ投入して中火で炒め合わせ、全体に味がなじんだら火から下ろして、キャベツと一緒に皿に盛ったら出来上がり。ちょうど、ご飯も炊きあがる時間だ。


「トンボ〜出来たから、その盗賊を出して上げて」


「おう。お前ら出してやるが、悪さをしたらぶっ飛ばすからな」


トンボのことが、あまりにも恐ろしいのだろう。出してもらってからも一切暴れることなく大人しくしている。


「お頭...すげぇいい匂いがしますぜ」


「これは肉の匂いに間違いないっす」


「あぁ〜腹が減った〜」


「お前ら静かにしろ!ぶっ飛ばされちまうぞ」


騒いだらトンボに殴られると思っている頭は手下を一喝する。


「盗賊の人〜食事が出来たから、まずは食べよう。早く食べないとトンボに殴られるぞ」


その言葉を聞いた盗賊達は、そんなスピード出せたのかというような速さで食事を受け取りに来る。


「おい!マサト、俺を出しに使いやがって」


「アハハハ、あれが1番効果的だし、温かいうちに飯は食いたいだろ?」


「うまいこと言いやがって、でも早く食いてぇな」と言いながら、真人の頭をガシガシと撫でる。


「にしても、相変わらずうめぇ〜ガツンと来るタレが堪んねぇが、肉が甘いのか?タレが甘いのか?甘さも感じる...こんなうめぇオークの肉は初めてだぜ」


真人は、え?となる。オークの肉ってなんだと。


「オーク?これ豚の肉なんだけど...オークって魔物だよな?」


「オークは魔物だが、普通に食べられているぞ。村じゃご馳走だ!それにしても、ブタとはオークにそっくりじゃねぇか」


それを聞いた真人は、一度オークの肉を食べてみる必要があるなと思うのだった。

それより、先程から涙を流している集団がいるのだ。


「お頭〜こんなうまい料理食ったことねぇよ〜グスン」


「柔らかい肉...それにシャキシャキで新鮮な野菜...うめぇ〜」


「この白いつぶつぶと一緒に食べると、もっとうまいっす!言葉にできない程の幸せが押し寄せてくるっす...もう死んでいいかも」


「おめぇら、これを作って頂いた方に感謝の言葉を伝えるぞ」


そう言うと、一気に豚の生姜焼きと白米を掻き込んで真人とトンボのもとに掛けてきて土下座する。


「さっきは、あんなことしちまってすまなかった...こんなうめぇの初めてだ。是非兄貴と呼ばせてくれ」


目をキラキラさせた盗賊達が真人とトンボの方を向いて訴えかけている。真人とトンボは、面倒くさいことになったなと思うのだった。


「君達、1からやり直す気はある?」


真人が、盗賊に聞くと全員が「はい!」と答える。しかし、頭は何か言いたそうな顔をしている。


「お頭は、何かあるのか?顔に出まくりだぞ」


「お頭なんて...俺のことは、バドと呼んでくだせぇ。何というか...やり直すにしても仕事がねぇんです。金もねぇから街にも入れねぇんですよ」


食うに困ってそう言うことをしてると言っていたもんな。


「よし!次の街で冒険者ギルドに登録しろ!金は全部出してやる。その代わり、必ず成功していつか俺達を護衛できるようになってくれ。それが、金を出す条件だ。やるか?」


それを聞いたバドと手下達は、目を見開いて驚いたあとまた泣き出してしまう。


「あにぎーそんな事を言ってくれた人は、今まででいませんでした。絶対兄貴達の為に成功してみせます」


「お前ら、もしマサトを裏切るようなことをしたら分かっているよな?」


トンボは、腕を振ってビンタをするフリをするのであった。


「はい!兄貴達のことは絶対裏切らねぇです。兄貴〜」


兄貴と言いながら、バドは真人とトンボを抱きしめる。2人は、「鬱陶しいから離れろぉぉ」と引き剥がすのであった。

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