第15話 冒険者の男とジューシーな唐揚げとビール!

次の街に着いたバド達は、無事冒険者登録をすることが出来た。最初は、山賊みたいな格好をしていたので道行く人に白い目で見られていたが、真人が服と防具と武器を買ってあげたお陰で一端の冒険者らしくなった。


「兄貴、この御恩は一生忘れません。必ず立派な冒険者になってお守りできるよう努力します」


「頑張れよ!もう悪さするなよ」


「もし、悪い噂を聞いたら俺が飛んで行ってまたぶっ飛ばすからよ」


トンボは、グルングルンと腕を回してアピールをする。


「アハハハ、そんときはトンボの兄貴を返り討ちにできるようになっておきます」


「ガハハハ、俺がそんな簡単に負けるわけねぇだろ。まぁ、でも頑張れよお前ら」


「兄貴...」


またまた泣き出してしまった元盗賊達は、真人とトンボに抱きつく。

また引き剥がしてから泣き止むまで待つ。それから、名残惜しそうにするバド達と別れるのであった。


「あいつら〜これからやっていけるかな?」


真人が、歩きながら呟く。


「大丈夫じゃねぇか?もし、踏み外すようなら鉄拳制裁だな。それより、今日はこれからどうするんだ?」


「これから、商業ギルドに行って、屋台を出していい場所を聞いてくるかな」


「じゃあ、俺は開く場所がわかったら冒険者ギルドに魔石とかを売りに行ってくるぜ」


その後、商業ギルドに行って、真人は屋台を開く場所に行き、トンボは冒険者ギルドへと向かった。


「おいおい!商業ギルドに登録したばかりだからってこんな隅っこかよ。これは誰もこないんじゃないか?」


まだ駆け出しの商人ということで、店を出せる区画の1番端に追いやられたのだ。

それでも、来てくれる人はいるだろうと下準備をするのであった。


「あれから何時間経ったのか...いまだに誰一人もこない。そりゃ、来るまでに飯屋らしき酒場がいっぱいあったもんな」


辺りは真っ暗になり、周りの店は閉店し始めている。唯一真人の屋台だけ灯りが灯されているのだ。


「そろそろ店閉めるかな...まだ始まったばかりだ。明日があるさ」


そう言って屋台を収納しようとした時に「まだやってるか?」と声が聞こえる。


「あ、はい。営業していますよ」


それを聞いた男は、安堵の顔を浮かべる。

見た目は、冒険者らしくゴツい大剣を背に背負って片目は斬られた傷があり強面である。


「ふぅ〜まだ開いてる店があってよかったぜ。依頼で戻ったらこの時間でよ。酒場は全部閉まってるしで、飯を求めて歩いてたらここが見えたんだ。ここは、飯屋でいいんだよな?」


「はい!酒もありますし料理もご提供できますよ。よかったら食べて行きませんか?」


「酒もあるのか!じゃあ、エールと腹に溜まりそうな飯を頼む」


酒があることを知った男は、笑顔になって椅子へ座る。


「エールは置いてないので、このビールを飲んで下さい。飲んでいる間に腹に溜まる物を作りますので」


缶からジョッキへとビールを移して提供する。男は、シュワシュワしたビールに興味津々となる。


「ビール?なんだかわからんが、喉がカラカラだ。不味くても構わん」


そう言って、ゴクっと一口飲んでから一瞬動きを止めて、再度飲み始めるとゴクゴクゴクと一気に飲んでしまう。


「ぷはぁ~なんだこの酒は...あり得ないほど冷えていて、喉を通る瞬間のこの感じ...堪らん。それに、素直にうまい!もう1杯くれ」


「は〜い。お待たせ致しました」


かなり気に入ったのか、すぐにゴクゴクと飲む。そして、その後何回もお代わりをするのであった。


「そろそろ揚げていきますか」


だがその前に、レシピを説明していこう。


鶏もも肉150gと料理酒大さじ1/2としょうゆ 大さじ1/2とごま油小さじ1とすりおろし生姜小さじ1とすりおろしニンニク小さじ1と鶏ガラスープの素小さじ1/3と塩小さじ1/3と黒こしょう小さじ1/3と片栗粉大さじ2と油 適量を準備する。


まず、鶏もも肉は余分な脂を取り除き、フォークで数ヶ所刺して一口大に切る。ボウルに鶏もも肉と鶏もも肉150gと料理酒大さじ1/2としょうゆ 大さじ1/2とごま油小さじ1とすりおろし生姜小さじ1とすりおろしニンニク小さじ1と鶏ガラスープの素小さじ1/3と塩小さじ1/3と黒こしょう小さじ1/3を入れ、よく揉みこみ、ラップをかけて冷蔵庫で30分ほど漬ける。それから汁気を切って、全体に片栗粉をまぶして、鍋底から4cmほどの揚げ油を注ぎ、1度目は170℃に熱してから下味を漬けた鶏もも肉を入れて茶色く焼き色がつくまで揚げたら、一旦取り出して3分ほどバットの上で休ませる。2度目は190度の油に入れて、こんがりときつね色に、カラッと揚がれば出来上がり。


「お待たせしました。鶏もも肉の唐揚げです」


香ばしい何とも言えない唐揚げの匂いが湯気と共に男の鼻腔をくすぐる。


「うまそうな匂いだな。ん?ん?う、美味すぎる...ただ揚げただけじゃない。しっかり味も付いてる。それに、こんなジュワッと溢れる肉汁は初めてだ。揚げただけの肉は食ったことはあるが、こんな外カリッの中ジュワッではなかったぞ」


感動のあまり目を見開いて驚き、1噛み1噛み丁寧に味わって食べている。


「この塩と黒こしょうを混ぜたのに付けて食べてみて下さい。味が変わりますよ」


「ちょっ、ちょっと待て...塩に黒こしょうだと...馬鹿な俺でもわかるが、ちなみにこの料理の代金はいくらだ?もしかしたら、払えないぞ」


金貨で取り引きされる塩とこしょうが出てきてしまい、怖気付いてしまう男。


「え?銅貨4枚ですよ。高かったですか?」


銅貨4枚とは400円くらいである。


「はぁぁぁぁ!たったの銅貨4枚?おいおい!このうまさでか?ちょっと待てよ。本当に、塩とこしょうなのか?・・・・うひょ〜うまい!確かに塩だ。それに少しだけピリッくるこれが黒こしょう...生きてて口に出来るとは...店主...何者だ?貴族の道楽か?」


さっきから全ての事に驚かされる男は、とうとう真人が何者なのか気になって仕方なくなる。


「ただの料理人ですよ。それより、塩コショウを付けた唐揚げとビールうまいでしょ?」


「あぁ〜まずいわけがない。明日も絶対来るからいなくならないでくれ」


「数日は、いますから大丈夫ですよ。それより、唐揚げお代わりしませんか?次はレモンなどをかけるとさっぱりしますよ」


もうこの時男は、真人の正体などどうでも良くなっていた。今はうまいものが食えたらそれだけでいいと。そして、お代わりで来た唐揚げにレモンをかけてまた度肝を抜かれるのであった。


「明日も来よう・・・・・」

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