第26話 父フェンリル強し!この世の終わりを告げるお裁き!(飯なし回)

「えっと...これは、一体どのような状況でしょうか?」


真人とトンボは、気絶をしたギルマスと伯爵とカーンを縄で締め上げていた。そこに、若い男が現れたのだ。


「お前も、こいつらの仲間なのか?また我が子を連れて行こうとしているのではないだろうな?」


父フェンリルが、伯爵達の仲間だと思い、威嚇をする。


「あ、へ?え、え〜〜喋ったぁぁぁぁ」


若い男は、魔物が話したことに驚きを隠せないようである。


「うむ...お前からは、悪い感情ややましいオーラを感じんな。誰だ?」


「え?私は、ここのギルドのサブギルドマスターです。それより、この状況の説明をお願いします」


やっとまともな人が現れたかと思い、真人が代表して説明をする。


「ギルドに、この子を登録しに来たのですが、受付嬢がフェンリルの子だと知るとギルドマスターへ報告をしに行き、この部屋に連れて来られて、いきなりギルドマスターから横暴な態度を取られました。終いには伯爵と名乗るその男がやってきて、この子を奪うような態度を示したのです。幸いこの子の父親と母親が助けに来てくれましたので、大事には至りませんでしたが、冒険者ギルドとは、このような横暴がまかり通る場所なのですか?」


それを聞いたサブギルドマスターは、難しい顔をして黙ってしまう。まさか、そんな横暴が行われているとは、少しも考えていなかったのだ。


「どうなのだ?ザブギルドマスターよ。さっさとマサトと我の子の登録を済ませよ。あと、この国の王に伝えておけ。次、我が子とマサトとトンボに手を出せば国が滅びるとな。わかったか?」


父フェンリルは、とうとう痺れを切らせて国を滅ぼす発言をするのであった。


「ま、待って下さい。フェンリル様!大変申し訳ございませんでした。今すぐに登録をして参ります」


「待て!王にしっかり伝えるのを忘れるなよ。それと、ギルドマスター《こいつ》とこの貴族とカーンとか言う護衛と関与したであろう受付嬢にはしっかりとした罰を与えろ。もし、行われないようであれば、この街を破壊する。わかったな?」


父フェンリルは、我が子を奪おうとしたことを相当怒っているようで、徹底的に追い詰めようとしているようだ。


「は、はい!国王陛下に、このことを報告し、必ずやそれ相応の罰を与えてもらうよう進言致します」


そう言ってサブギルドマスターは、走ってフェンリルの登録をしに行くのであった。


暫く待っていると、ギルドカードを持ったサブギルドマスターと近衛兵らしき人達が来た。近衛兵は、伯爵とギルドマスターとカーンを連れて出ていく。


「マサト様、こちらがギルドカードです。登録は済んでおります。それと、魔道通信で王城へ連絡を取らせて頂き、一部始終を説明したところ、謝罪をしたいとのことで、是非王城に足を運んで欲しいと言っておりました。それと、関与した者は奴隷落ちにするとのことです」


真人もトンボも、国が滅びるとか言われたらそりゃ対応も早くなるよねと思うのだった。


「面倒なので王城へは行きませんよ。では、そのようにお伝え下さい。みんな行きましょう」


真人は、もう関わりたくないと思ったので、そそくさとその場を後にする。後ろからは「待って下さい」と聞こえたが、無視をしてそのまま出ていったのだ。


「王様の件よかったのか?」


「面倒臭いしいいだろ。本当に悪いと思っているなら向こうから会いに来るだろうからな。それより、お2人とも助かりました。ありがとうございます」


フェンリル夫妻は、いつの間にか人間の姿になっていたのだ。


「構わんさ。もし、また何かあれば呼んでくれたらいい。では、我が妻よ!戻るとするか」


「そうね。そうだったわ。マサトとトンボに迷惑をかけちゃ駄目よ。じゃあね」  


「パパ〜ママ〜またね〜」


フェンリル夫妻は、何もなかったかのように颯爽とその場を去るのであった。


「マサト〜僕お腹空いちゃった」


「俺も腹が減ったぞ」


子フェンリルもトンボも2人して両手でお腹を押えてお腹空いたアピールをする。


「よし!何か作るか。でもその前に、この街からは出よう。あんなことがあったから居心地悪いしな」


「確かに、そうだな。野営しながら次の街に向かうとするか」 


「マサトとトンボと一緒に旅するの楽しい〜」


3人は、次の街を目指して進むのであった。その前に腹ごしらえだけどね。


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