【切り抜き5】えぐい脅しで娘をビビらせる神絵師、ガーターベルト

『やあやあ、ファンジェルの諸君。ぼくは天母マリアのキャラデザを担当しているイラストレーター、〝あなたとあなたの性癖を繋ぐ〟ガーターベルトだ。どうぞよろしくー』


『はぁい、ドン引きのキャッチコピーありがとぉ。ということで久々、ガーターベルトママに来てもらいましたよ~』


コメント

:ガーターベルト先生~

:ガーターベルト先生の中性的なガワと声たまらん

:先生が描くエロ同人にはいつもお世話になっております!(意味深)

:マリアママはなんで「ママ」って呼んでるの?


『あっ、マリアがガーターベルト先生をママって呼ぶのはね、VTuber界隈の文化なんですよ。ほら、先生はマリアを生み出してくれた言わば親でしょ? そういうクリエイターさんはママやパパって呼ぶんです。不思議よねぇ~』

『マリアくん。さっきのはそういった意図の質問ではないんじゃないかな』

『えっ?』

『年下のぼくをママと呼ぶのがヘンだと思われたのさ、ババアのくせにね』

『ちょっとぉ⁉ 急に娘をぶん殴ってきたんですけど! DV反対っ!』

『ハッハッハ。メタライブの人はリアクションが愉快でね、ついついイジりたくなっちゃうのさ。ごめんよ冗談さ』

『もぅ、ガーターベルトママはいつもそうなんだから……』


:冷静になるとガーターベルトママとかいう地獄みたいな呼び名

:そもそもの話、先生は女なのか? パパじゃないのか?


『男だとか女だとかどうでもいいじゃあないか。まあしかし、何年も会ってるマリアくんはどっちだと思うかな? ぼくが女か、はたまた男か』

『打ち合わせで何度も会ってるけど…………本当にどっちなのかわかんない』


:どんな外見してるのそれ……


『顔はきれいで、体の線も細くて、初めて会ったとき男の子の格好してたから『あっ、美少年!』って思ったんだけど』

『なるほど、あのときぼくは食われそうになっていたと』

『違う違うっ! ……それで次も打ち合わせで会ったんだけど、そのときは女の子の格好してて、会うたびにどっちかわかんなくなるからマリアは考えるのをやめました。一つ言えることは、胸はすごく小さい!』

『大きければ良いってもんじゃないさ。小さいブラのほうが可愛い柄は多いからね、着る楽しみが味わえるものだよ。趣味は多いほうがいい』


:この発言は女……か?


『まあ、ブラはイラストの資料として調べただけかもしれないし、ぼくが女装趣味の変態絵師の可能性だってあるわけだけど。それはそれでみんなも嬉しいだろう?』


:難しいこと考えんなよ! 生えてたら一本お得、それでいいだろ!

:タマ二つも忘れないでもろて

:ホモォ……┌(┌^o^)┐


『で、今日は何をやる予定だったかな? マリアくん』

『今日は~、久しぶりにガーターベルトママとレースゲームをしたいなぁって。昔、配信でよく二人でやったよね』

『ああ。初期のキミは駆け出しで、ゲストに呼べる相手がぼくくらいだったからね。それが今では……本当に、すごいアイドルになった。このあいだの生誕祭ライブも素晴らしかったよ。無論、お世辞抜きでね』

『へへ……ありがとぉ』

『いいよ。娘のキミがやりたいゲームなら大歓迎さ』

『やったぁ! ママだーいすき♡』




 ~そうしてエモい雰囲気で始まったレースゲームだが……~


『やったああああ! マリアが一位! あぁ、一位でゴールするのって気持ちいい……。イエーイ、ガーターベルトママ見てるぅ~?』

『……自分で描いた顔だが、殴りたい……ッ!』

『むふふ。ねえねえ悔しい? 娘に堂々の一位を奪われた悔しさで顔が真っ赤?』

『…………あまり、ぼくを怒らせないほうがいい。酷いことになるぞ』

『ふーん?』


『キミ、エロ漫画にしちゃうぞ?』


:ヒェッ

:どんな脅し方だよwwww

:絵描き界隈こわすぎて草


『う、運営が許しませんよっ、そんな酷い仕打ち!』

『問題ないね。ぼくが趣味で描いているエロ漫画だ、PCのフォルダより外には出ない。ちなみにシチュエーションだけど……夏の海、人が来ない岩陰、こちらを見て舌なめずりする浅黒い青年二人、後ずさる白ビキニのマリアくん』

『ダメダメダメ! 絶対ダメですッ‼』


:ん? 先生のPCにアクセスできればマリアママのエロ漫画が読み放題か……?

:後の天才ハッカー誕生の瞬間であった


『ハハッ。そんなに嫌なら仕方ないね、他のメンバーで許してあげるよ』

『えっ、他って……』

『四期生のコとか良さそうだね。……何も知らずについて来たお子様なダークくん。絶対に屈しないと強がるシルビアくん。押しに弱そうなみことくん。誰にしちゃおうかな~?』


『やめてぇ! ……娘には手を出さないで。マリアが、代わりになりますから……っ』


『お、おぉう……リアルでそれを言う人はお初にお目にかかるよ』

『ほえ? なんのこと?』


:マリアママwww

:自分からネタを提供していくスタイル嫌いじゃないよ

:草




 ~母と娘のような二人~


『そろそろ配信を終わりたいと思いまーす。ガーターベルトママ、執筆で忙しいのに来てくれてありがとぉ! 最後に告知なんですけど、先月やった#マリアのお悩み相談室を明日から再開するので、みんな見に来てね~』

『マリアくん。ライブも終わったことだしさ、一日ゆっくりしたらどうだい』

『えっ……うん。ママが言うなら、わかった。みんなに送ってもらった相談に答えきったらお休みを頂いちゃおうかな』

『デビュー当時から何度も言ってるけど、ぼくらフリーランスにとって健康は資産なんだ。余裕のあるときに休まないといけないよ。ただでさえキミは優しすぎて、自分より他人を優先しがちなんだから』

『えへへ』

『もっと体を労わりたまえ。デビューして六年。もうババ――』


『マリアは18歳です若いですぅ‼ じゃあねバイバイ!』


『……年齢イジられたときの反射神経は本当に若いよ、キミ……』

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