【切り抜き4】ライブへの熱い想いを語るエンスト爆笑女、巫みこと

「こんマリ~、天母マリアですぅ。今日は久しぶりにのんびりと雑談配信をやっていこうと思ってました……が、いきなりですがコラボになりました!」


コメント

:突発コラボきたーーーー!

:今日はどんなやばい奴が来るのか……!


「早速ゲストに登場してもらいましょーっ! みこちゃ~ん?」

「こんみこ~! 『巫』と書いてカンナギと読む、〝みこみこ〟こと巫みことでーす! ファンジェルのみんな、みことの存在覚えてますか~?」


:覚えてるよ笑

:ごめんなさい。最近メタにハマったばかりで知らなかったです……


「だよねだよね、知らないファンジェルさんもいるよね。私、巫みことは四期生でダークとシルビアの同期なんだけど、体が弱くて先週まで二週間のお休みを頂いてたの。そのちょっと前も休んでたから知らない人がいてもしょうがないよね……みこと、あの二人よりキャラも幸も薄いし……」

「ち、違うのよ? みこちゃんが薄いわけじゃないの。あの二人が濃すぎて豚骨ラーメンみたいなだけなの!」


「アヒャヒャヒャヒャッwwww」


:笑い方やばすぎィww

:画面にコーラ噴いたわwww

:「今度こそ清楚担当が来た!」と期待した俺がバカだった

:メタライブに清楚がいるわけないんだよなぁ……


「ンヒィーww……あーもう、マリア先輩おもしろすぎですよぉ。いいなー、みこともこんなふうに咄嗟におもしろい言葉をチョイスできるようになりたいです」

「でもマリアは、みこちゃんとの配信ってすごく安心できるのよ。安定感があるっていうか」

「えっ、嬉しい! ホントですか⁉」

「うん! 車に例えると、みこちゃんは法定速度を守って安全運転してくれる感じ。隣にいて安心して配信に集中できる」

「ちなみにですけど、ダークとシルビアは?」

「ダックちゃんは、調子に乗ってこっちをびっくりさせようとドリフトするんだけど自分まで酔って気持ち悪くなっちゃうタイプ」

「ピャーwwわかるぅー」

「シルビアちゃんは、最初は安全運転なんだけど『ノってきましたわ!』とか言い出して急に時速200キロ出すタイプ」

「ビヒャヒャヒャヒャヒャwwww……ンヒィーwwもうダメ笑い死ぬー……」


:解釈一致

:みこみこ笑いすぎてキマった人みたいになってて草

:この子の笑い声聞いてるとこっちまで笑ってしまうんだがww


「ふふっ。みこちゃんは安全運転だけど、ときどきエンストしちゃうのが玉に瑕かな」




 ~差し迫った生誕祭ライブの話になる二人~


「私、22日の生誕祭ライブ、めっちゃ楽しみなんですよ! 絶対出たい!」

「お医者さんはなんて言ってるの? みこちゃん」

「なんかー、明日の診察結果が出てから考えましょうって感じなんです。ゆーて出られないことはないでしょ~、とか思ってたんですけど……急に怖くなってきて」

「うんうん」

「家で一人でいるのに耐えられなくなっちゃいまして。それでマリア先輩に『コラボいけますか』ってチャット送ったんです……いやもうっ、ホントごめんなさい!」

「いいのいいの、マリアは頼ってもらえるのが嬉しいから。でも、同期のほうが話しやすいんじゃない? 今日二人とも配信ないみたいだけど」

「あの二人はですね……どっちかに声をかけたら、声をかけられなかったほうが『なんでお前だけみこととコラボしてるんだ!』ってキレだすんです」

「あー、やりそう……」

「でも二人は揃ったら揃ったで喧嘩になるから、仲裁がすごく大変で……」

「わかるなぁ……」


:めんどくさすぎて笑う


〈極姫シルビア〉:貴女ね……わたくしのほうはそこまで沸点低くありませんわよ?

〈黒曜ダーク〉:みことよ、余は低レベルの者とは争わぬのじゃ


:コメントにお嬢とダックちゃんおる!


「あっ、二人とも見に来てくれたの⁉ …………えっ」


〈極姫シルビア〉:おいダーク、わたくしがてめぇより低レベルって言いたいんですの?

〈黒曜ダーク〉:そう思うんならそうなのじゃろう。おぬしの中ではなwwww

〈極姫シルビア〉:ちょっとチャンネル登録が多いだけのクソガキがよォ!

〈黒曜ダーク〉:それはライン越えの暴言じゃぞ! 身バレ炎上ヤクザ!

〈極姫シルビア〉:てめぇも軽々とライン飛び越えてきてんじゃねェですわ!


「ひいぃぃい⁉ お願いだからマリアの配信枠で殴り合いはやめてよぉ!」


:まじで二人揃った途端に喧嘩始めてて草

:これもう荒らしだろ……

:極姫組の舎弟の者です。この度はうちのお嬢が申し訳ありません

:魔界の民なんですけど、こちらこそうちのダックちゃんが失礼な真似を

:こんなんもう顔面草まみれやwww


「あぁ……のんびり雑談がしたかっただけなのに、悪魔とヤクザのバトルフィールドになってしまいました。どうして……」


「――二人ともいい加減やめな」


「えっ、み、みこちゃん……?」

「私いつも言ってるよね、喧嘩してもいいけど迷惑だけはかけないようにねって。でもここはどこ? マリア先輩の枠だよね。それをわかってて喧嘩するのはどうなのかなって私は思うし、そんなに言いたいことがあるなら明日の病院はキャンセルするから、三人で私の家でとことん話し合おう」


〈極姫シルビア〉:ごめんなさいですわ ¥10,000

〈黒曜ダーク〉:ごめんなさいなのじゃ ¥10,000


:詫びスパチャww


「い、いいのよ二人とも! お金なんて投げなくてもコメントで気持ちは伝わるから! ちゃんと返金手続きしてね」

「ごめんなさいマリア先輩。二人とも先輩を困らせるつもりは本当になくて……」

「大丈夫よ、わかってるから。……それよりみこちゃん、怒ると怖いのねぇ」

「そんなことないですよ~」


:いつも笑ってる人が怒ると怖い典型例ですね分かります

:みこみこはお姉さんポジなんやな

:なんか、ママと長女と仲が悪い妹二人の幸せな家庭が見えた

:じゃあ俺パパ役やる!

:おままごと始まってて草


「ファンジェルさんに誤解してほしくないから話すけど、あれでも二人はすごく優しいの。みこと、前に寝込んじゃったことがあって……。二人とも忙しいのに家まで来てくれて、シルビアは、『具合が良くなってきたら、これ飲みなさいな』って卵酒を用意してくれたんです。家から高い日本酒を持ってきて作ってくれたんですよ」

「お酒が好きなシルビアちゃんらしい看病ねぇ」

「ダークは、余った卵で卵がゆとお味噌汁を作ってくれました」

「えっ! ダックちゃん、お料理はしないって言ってたのに……」

「でもできるみたいですよ? すごく美味しかったです!」


:きっとダックちゃんは人のためなら料理に時間を割く子なんやな

:裏話助かる

:四期生てぇてぇ


「だから私……今度のライブ、絶対三人でステージに立ちたいんです! こんなに支えられててファンのみんなにもすごい支援されてるのに、直前になって『やっぱりムリです』だと申し訳が立たない。だから、絶対出る……私たちアイドルにできる一番の恩返しは、ファンの期待に応えることだから!」

「うんっ、出よう!」

「マリア先輩……」

「大丈夫! マリアも祝われるばかりじゃないよ。四期の三人がステージに立てるように先輩として頑張るからっ」

「はいっ! 三人で〝トライアド・インビンシブル〟歌って生誕祭をお祝いしますね! あっ、トライアド・インビンシブルっていうのは四期の絆を詰め込んだオリ曲ですので、みんなもぜひ聴きに来てくださいねー!」


:みこみこ、マリアママ、当日絶対に見るからな!

:頑張れー!

:めちゃいい雰囲気なところ悪いんだけどさぁ……

:やばい! お嬢とダックちゃんが今度はツイッターで殴り合ってる!

:戦場変えただけでホンマ草


「みこちゃん……みこちゃんがいないとライブ会場で喧嘩が始まっちゃうから絶対に来て‼ 他に止められる人いないの! お願いね⁉」

「だ、大丈夫です、行きますから! ……もぅ、ホントあの二人は」

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