第16話

 私はもう散々奈々子の母から話を聞いて涙が枯れ果てるくらい精神がぐちゃぐちゃにされてしまったのにこれ以上の辛さに踏み入れられたくない。


 奈々子の叔母が騒いでいたから何人か市の役員、そして警備員もやってきた。

「あちらに行きましょう、あちらに」

 一人の役員、名札に栗本と名前が書いてある。ボブカットにメガネ、もう一人の墨田とかいた同じようにボブカットにメガネの女性。

 40-50くらいのベテランの職員だろう。どう見てもその容姿で二人揃うとあの女のお笑い芸人にしか見えないのだが。


 何故か奈々子の叔母だけでなく私まで引き込まれるように奥の部屋に連れて行かれた。

「あの、わたしはかんけいないんですけどぉ」

 と言うが、栗本さんが

「すいません、ご協力ください」

 と耳元で囁く。警備員もいるからこれ以上おおごとになっては困る、私も行くことした。

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