第18話

 だが、奈々子の叔母は強かった。うちの母見ていればわかる、すぐへこたれるような人ではない。

「あんたたちは、同居してる親はいるのか」

 と栗林さんと、墨田さんに突きつけた。二人は顔を合わせて何かを話している。


 すると栗林さんが

「……あまりプライベートなことを言うのもあれですが、わたしも主人の母を自宅介護しています。普段はデイサービスで預かってもらって子供たちや私、土日は主人も交代でみています」

 と小声で言う。

 墨田さんは

「一応義父母と同居してますがとてもお世話になっていまして……完全二世帯住宅なので介入することはありません。親よりも助かっています」

 と続けていう。

「ほぉ、なるほどね。墨田さんはまだしも栗林さんは奈々子の気持ちはわかるんじゃないですか?」

 奈々子の叔母がそういうと栗林さんは顔を引き攣らせている。


「奈々子さんは義父母さんが勝手に庭の掃除や家の掃除を勝手にしてくるっておっしゃってましたがいい方々じゃないですか。そんなことしてくれる人なんていませんよ」


 そうだ。奈々子はよく言ってた。家族で出かけた後、勝手に家に義父母が持っている合鍵で家に勝手に入り部屋を勝手に片付けられていたとか、庭の植木や草を勝手に切り、そのままにしてこんもりと積まれていたと。ゴミ袋の場所を知ってるのに。


 奈々子の夫はまだ若い。やれる年齢だ。なのに義父母たちが

「息子は家族を養うために朝から晩まで働いて疲れている、だからかわいそう、やってやったんだ! 感謝しろ」

 と言っていたようだ。奈々子がとある日ラインで写真を送ってきたのは庭じゅうにばら撒かれた草のゴミ。明らかに嫌がらせ、見せしめのように。


 そして箒やゴミ袋がある場所を知っているのにむしるだけむしってそのままにして……狂気を感じた。


 彼女が土日ゆっくり寝てたら外からザクザクと音がした、外を見たら義父母が掃除してきたと。


 そんなの感謝の前に恐怖しか感じない……。

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