第2話

 美樹と奈々子は小学校から同じで一緒にバスで通っていた。美樹は地銀務めで奈々子の親のことも知っていた。だからすぐに奈々子の死は伝わったのであろう。


 メールを見て電話をしたらやはり奈々子の母から連絡があったと。奈々子は既婚だから夫からが普通だろうが、連絡先を知っているものが限られているなかもしれない。


 美樹は真由美より淡々としていたがもともと彼女はスピーチコンテストで優勝を何度もしていて平常心は並大抵のものではなかった。

 正義感も強く、少しでも不正があると教師に言いつける少し面倒なところもあったが、それは銀行員として良い性格なのではなかろうか。


 話はされたが美樹はまた葬儀の話があったら連絡するとのことだった。

 最後は少し声が上ずっていた。多分他の友達にも連絡をしているのだろう。


 電話を切った後、私はようやく自分の内側からブワッと込み上げるものが湧き出てきて目から大量に涙が出た。


 最後に彼女と会ったのはコロナ禍の前だ。それ以降はSNSでの更新だけであったが、子供の写真しか載ってない。彼女自身は写ってない。


 どんな顔だっけ、もう2年くらい会ってない、声はどんな声だっけ……最後にメールをやりとりしたのは……って最近メール整理したから消してしまった。


 ばかばかばか。


 すると、真由美からメールが。

『テレビを見て!』

 

 私は目を擦ってテレビをつけた。


 つけると情報番組の映像が重機によって吊り上げられる乗用車が映っている。崖から落ちたようだが、どこかで見たことがあると思うったらテロップに地元の地名が。やはり。

 そしてもう一つ

「男女の遺体発見、事故死か? 1人は既婚女性」

 と書かれている。


『その場所はわかりますか』

「はい、実家の近くの国道の……あの辺は事故が起きやすくてあまり通りませんが。この事故がどう……」

『その亡くなった既婚女性がですね、あなたと同じ学校の出身だとわかりましてね』

 えっ、と私が声を上げた瞬間、テレビに大きく映し出された写真。



 奈々子だった。

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