小学校

第4話

 葬式は夜からだ。真由美は仕事があるからとまた夕方に連絡取ると言っていた。でも仕事は手につかないのだろうか、それともあのセンセーショナルなニュースをネタに職場で話をしているのだろうか。彼女のいいネタになるだろう。


 美樹は仕事を休むそうだが連絡はない。


 私はいてもたってもいられなくなって実家に電話した。母はニュースを見ていて私に電話しようとしたらしい。

 こっちに帰ってくるのかとか言われたけど別に電車で行って帰られる距離だからいいと言った。


 そつないね、とかいうけど帰ったところで独身誰も相手もいない私なんてまた孫はとかなんたら言われるだけだ。


 私はとりあえず外に出ることにした。何をどうしたってどうなることなんてない。仕事もあるけど手につかない。


 家にいたってスマホを触って永遠とニュースを読み漁ってしまいには掲示板まで見てしまうだろう。


 私は歩くことにした。このままの格好でも別に喪服には見えないだろう。あ、ストッキング……黒のを買わなくては。結局外に出かけなきゃいけなかったのか。


 車を走らせるととある小学校の前に人だかりができている。何か事故か事件が起きたのか。所々に中継車。警察が車の交通整理をしている。近くで奈々子の事故というか事件があったばかりなのに警察も大変である。

 カメラやマイクを持つ人の中に明らかに野次馬もいるがいい迷惑である。


 それに私が行こうとしているドラッグストアも小学校の近くであり、いつもはスムーズに入れるのにと思いながらようやく入れた。

 足早に黒のストッキングと香典袋と薄墨のペンを手にしてレジを後にし車に戻るがやはり気になる。数台中継車もあり、店主もいい迷惑だろう。


 私は野次馬なんてアレかと思うが気になってしまった。まだ葬式まで時間はある。小学校に近づくにつれ野次馬が増えカメラマン達のいるところまでは行けなさそうだ。

「あんたも見にきたんか」

 見知らぬ初老の女性が私に声をかけてきた。

「いや、なんかこの辺混んでるから事件でもあったかと思いまして」

 平日の午前中、何でここにいる、何の仕事をしてるんだという目で見る彼女にそういうと、笑う。

「ちゃうちゃう、あんた朝のテレビ見とらんのかね」

「……えっ」

「あの人妻の子どもがこの小学校に通ってるからマスコミがきたらしいのよー」

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