天井裏の子
富士山麓の写真を撮るために足が棒になるまで
カメラに保存された風景写真を整理する必要があったが、明日になってからでも遅くはない。取材旅行の
――親父が死んでからどれくらいが経ったのかな――
――むかし、こんな天井の家に住んでいたことがあったなあ――
転勤の多かった父親に連れられて土地を
「それはきっとテンツルシの
昼間でも隅に影を残す木組みの天井が、何とはなしに恐ろしかった。
今にも向こうの側の世界から
ある眠れない夜に
「それはきっとテンツルシの
――無関心だったわけではないんだ――
いつも
――親父はテンツルシと出会ったと言っていたが、あれは本気だったのかな――
父は嘘をつけるような
――今なら素直に親父に訊ねられそうなのになあ――
父にも子どもであった時があり、それは楽しく幸せな思い出に満ちたものであって欲しかった。今となっては、そう願うことぐらいしか父のためにしてやれることはなかった。
父との間に結ばれた
父親との
(了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます