構内ポスター
殺意が巨大な渦を巻いて
―この男だけは許しておけぬ―
私は勤め先の社内新聞をポケットから取り出すと、印刷された小さな写真に
社内の
「君の気持ちは痛いほどわかるよ」
精神科の医師はそう言って私をなだめるが、怒りの炎は容易には
『つい、カッとなった。人生、ガラッと変わった』
精神科病院への
――この救いのない人生も変わるのか――
行き着く先が地獄でも構わない。もはや私の人生は
写真に映った元上司の姿を目に焼き付くほど
私の
計画と呼ぶにはあまりに
時計の針は午前七時を指している。ダイヤに乱れもない。あと数分もすれば電車は定刻通りにやってくるだろう。
私は
「まもなく電車が参ります」
――あっ――
小さな老婆が私の行く手を
「すみません」
意外な存在を前にして私の口をついて出たものは素直な謝罪の言葉であった。
「人が
私の
――誰しもが痛みを
そこに至るまでの
物思いに暮れながらも、とにかく
『お酒の失敗じゃない。あなたの失敗です』
――失敗は誰のせいでもないんだなぁ――
なるほど、確かにその通りだと思った。
(了)
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