帽子屋からの贈り物
「あなたは妖精の存在を信じますか?」
ナイトクラブのカウンターでウイスキーグラスを傾けていると、隣に腰掛けていた身なりの良い老人が奇妙なことを訪ねてきた。
「それは素敵な質問ですね」
イエスともノーとも捉えられる
「妖精はいますよ。私たちのごく身近にね」
老人はグラスに注がれた
「私はしがない
老いた
「それである夜に悪魔と契約を交わしました。魂を明け渡すことを条件に三つの願い事を叶えてもらったのです」
「一つ目は誰しもを魅了する
老人が正気を
「契約のおかげで商売は大いに
「妖精たちは実にお
「私はいずれ妖精を使役する力でこの世界をも
そう言うと老人はカクテルグラスの
「老人の
壊れた
「そうそう。あなたの恋人の
老人は店主に預けていた鞄から丁寧に
「妊娠したみたいなの」
見ず知らずの老人からの贈り物を持て余しながら
「あら、素敵ね」
謎めいた箱の中にはレースで飾られた小さな
(了)
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