丸窓への恋
「
そぼ降る雨に打たれて肩を濡らしながら、私はある家の二階を見上げていた。
こんなことをしても意味がないのは分かっていても、この家の前を通る度に同じことをしてしまう。つい呼び鈴へと手が伸びてしまいそうになるのを、
三ケ月前に非常勤講師の職を辞任させられた。それまで私は教育に
何をするのも
都会の
気が付けば、あてのないはずの
その日も私は呼び鈴を鳴らすという欲望を抑え、雨に濡れた
「あの、すみません」
私は一人の少女に声を掛けられた。振り返ると
「うちに何か用ですか。最近、ずっと来てますよね。あの窓から見てました」
少女が
「すみません。珍しい窓だったので――」
「はあ、何を言ってるんですか。頭おかしいんじゃないですか。本当に警察を呼びますよ」
これ以上、この
「あの
「はあ、普通のカーテンですが。やっぱり頭おかしいんじゃないですか。もういいです。帰ってください。次来たら警察呼びますから」
(了)
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