夜半の虫取り
「お父さん、とうとう倒れたわ」
親父が
動揺はしなかったつもりである。親父の歳を
「こんな時間だけれど、あんたも来なさい。お母さん、先に病院で待ってるから」
病院には一人で行くことにした。妻は自分も一緒に行くと言い張ったが、今年で三歳になる息子を家に置いていくわけにもいかなかった。心の
※
白く
親父は町で小さな
「おい、
夏になると酒とタバコの臭いを漂わせながら親父はそう言って、
「……ミツ」
底知れぬ深い眠りについていた老父の
※
病人の意識が
「お疲れさま。大変だったわね」
妻が玄関で迎えてくれたのは
妻に
「おい、起きろ。虫取りに行くぞ」
気が付いたときには、安らかに寝息を立てる息子を激しく揺さぶっていた。
もしかしたら、親父はあのとき、
窓越しに響き渡る
(了)
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