36話 最悪の展開

気が付くと天音はベッドに素っ裸で四肢を拘束されていた

あたりは薄暗く割れた窓から差し込む光からそこはどこかの廃病院だと予想がつく

がれきが散乱し、点滴か何かの袋が床に散らかっていた


まだ痛むお腹を見ると腫れている

それほど時間がたっていないのだろう


脱出しようと試みるも体が全く動かない、まるで金縛りにあっているようだった

いつのまにか吐く息もどこか荒々しく、まるで自分じゃないみたいだ。


「よぉ、めぇさめたか?」


声がする方向に目を向けると案の定隼人が立っていた、脳がパチパチとはじけ愛しさがこみ上げる


魅了された


天音がそう結論づけるのにそう時間はかからなかった

隼人を認識したとたん感情が大きく揺れ動く


思考ははっきりしているのにもかかわらずほとんど体の主導権がない状態はまるで催眠にかかったかのようだ


隼人はニマニマしながら近づくと天音を無理やり開脚させモノを突き出す

汚される…

天音の思考はソレに埋め尽くされた

全身から血の気が引くほど嫌なはずなのに体はまるでソレを求めるかのように熱くなる


(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)


必死に抵抗しようとするも体は動かない

結局何もできずにもう入ってしまう…それほどまで近づいてしまった

しかし奴の肝心のモノは全く反応しておらずフニャフニャだ


隼人はソレを見ると苛立ちが抑えられなかったのか髪を強引にかきむしり天音の腹を殴りつける


ドス!


「ぐっ…!あ゛ぁ゛…」


「なんで反応しねぇんだよクソがぁ!!ここまできたのになんでだ!ふざけんなよクソッもういい、てめぇはもう堕ちろ」


隼人が指を鳴らすと何やらうにょうにょとヘドロのような厄が出てきた

その厄は天音に馬乗りになると触手を秘部にあてがう


「なに…をぉ」


うまく回らない舌を何とか動かし抗議する

見ればわかりきったことだったが現実を受け入れたくなかった天音は会話で現実から逃れようとした


「あ゛?んなもんわかりきってんだろうが、レ●プだよレ●プお前も厄除の面なら知ってるだろ?厄につかまった女がどうなるかなんて、巫女なら覚悟できてるはずだぜ?」


天音も巫女だ、こうなることは予想もできたし覚悟もしているはずだった

それでも十五歳の少女はその運命など受け入れられるはずもない。


好きな人と結ばれそのまま幸せな家庭を夢見るけなげな少女にとっては目の前の現実は受け入れられるはずがない


だんだんと迫ってくる触手に絶望しながらなんとか回避できないかと頭を回転させる結界をはろうにも自分の神気はいうことを聞かない


そう…自分の神気だけは…


ここで一つ目の奇跡が起きた

長年にわたって修によるかいhゲフンゲフン神気の測定を受けていた天音の体内(主に子宮)には修の神気が蓄積されていたのだ


独特な測定の都合上毎日天音に神気を流し、天音の神気に自分の神気を混ぜることで神気の量を測定してきたため、修の神気は日々天音の体内に蓄積されていたのだ


塵も積もれば山となるとはよく言ったものでかいhンン゛!修の神気がよくなじんだクソ雑魚な天音の子袋は修の神気の味を理解し操作するまでに至っていた


そう!今この瞬間!!!!!

(一つのエロによって恋する乙女の貞操が守られた瞬間である)


天音は当然そんなことは知らないが、本能的に修の神気を行使し結界を展開した

それにより厄の触手の侵入を阻み、さらにここで二つ目の奇跡が起きる


天音が本能的に使った修の神気は本人も察知したのだ

修はその場に正確に飛んでくる


文字通り飛んできた・・・・・


「【次元渡り】」


空間がぐにゃりと歪みそこから人影が二つ飛び出てくる一人は少女


そしてもう一人は… 漆黒の双剣を構えた少年 修である


「てめっどこから!」


すぐさま隼人が反応するも修の一言でかき消される


「天音!助けに来たぞ!」


それは天音が一番大好きな人の声だった

隼人の魅了などいともたやすく吹き飛ばされ、思い出すかのように再度惚れさせられた


【快愛の瞳】によって奪われていた愛情は修という本物によってたやすく奪い返される、これは決して天音がちょろいわけではない


しっかりと教え込まれたご主人様に体が帰還したなんてことは誰にも言えないがとにかく、決死の思いで天音を救いに来た修の行動が天音の恋心を貫き、天音と修の愛(?)が快愛の瞳を上回ったのだ


修は円弧満月で天音に馬乗りになっている厄を次元のかなたに吹き飛ばすと返す刃で隼人に攻撃をする


切りつける刀身はすでに黒い神気でおおわれており心願を発動していることが明らかであった、しかし原作にこのような技はないため隼人は混乱しバグだと喚き散らした


隼人の過ちはいくつかあるがその代表的な例を挙げるならこの世界をゲームとしてとらえていたことだろう。この世界は確かにあのエロゲの世界ではあるがゲームの延長線上の世界ではない


人は考え思考し成長するし、厄の攻撃パターンもゲーム時代のモーション以外もきちんとある


生きとし生けるものたちには感情が存在するのだ

現に隼人の幼馴染、夢野も考え努力し異物である隼人の中にいる転生者の存在を感知したのだ


修の攻撃は激しさを増しどんどん隼人を追い詰めた、同時に援護射撃と言わんばかりに夢野が【薙刀】を振るう


ここで夢野のスペックを説明しよう

このキャラはエロゲでも最強核に位置するスーパーできる子ちゃんなのだ

その強さの所以は何といっても心の強さであろう実際隼人の作戦によって純粋が汚れてもめげずに戦い、今では原作以上に強い

ついでに処女信者たちには謝っておくことにする


心願なしだったら間違いなく修でも勝てない、それどころかワンチャン師匠といい勝負出来そう…はさすがに無理があった


神器は薙刀…刀身は薄い桜色でとてもきれいだ


そして彼女の一番の特徴は特異体質だ神気が多ければ多いほど身体能力が飛躍的に向上する、普通の人でも神気が多ければ身体能力は上がるのだが、彼女はその倍率がとても高いのだ


いわば最強のヒロインである


そんな彼女の攻撃は的確に隼人のスキを突きどんどん追い詰めていく


「あぁ、うぜぇ…うぜぇんだよお前ら…もういいわお前ら皆殺し…殺してやるよリセットしよう」


隼人はおもむろに青い石を取り出す


「あれはッ!まずいみんな離れろ!!」


修の掛け声に皆が一斉に距離を取る、しかしまだ万全ではない天音が隼人につかまってしまった


「天音!!」

「お前も道ずれだぁよかったなぁモブお前の目の前で最愛のヒロインが死ねるぞ?まぁ俺様に勝てたらの話だけどなぁ…あはははははははは!」


「私はいい…から…にげムグッ」


隼人が取り出した石からは異常なほどの邪気が発せられていた

_________________

視点が変わるよ!神視点→修視点



「なんなの…あれ…」

体をぶるぶるふるわせながら困惑する夢野


「荒の巫女御霊の封印石だ」


そう、あの石に封印されているやつこそゲームのラスボス、荒の巫女御霊だ

ゲームでは堕ちてしまったヒロインもしくは主人公と一番好感度が高いヒロインが依り代にされる。

この戦いでは二つつのルート分岐があり隠しルートを含めた三つのルートが存在する


一つ目、堕ちてしまったヒロインが依り代にされた場合、荒の巫女御霊は強化された状態で馬鹿みたいに強く、それこそ師匠がいないとお話にならないくらい強い。

さらに何とか倒しても依り代にされたヒロインは死んでしまうという最悪のバッドエンド


二つ目は一番好感度が高いヒロインが依り代にされた場合、荒の巫女御霊は弱体化され普通に倒せるレベルになる、が!ここで運営さんのごみ仕様…依り代にされたヒロインはなんと主人公の腕の中で衰弱死してしまうのだ、これがトゥルーエンド胸糞悪いったらありゃしない


隼人が封印石を砕くと中からいびつな靄が現れ天音と隼人を覆っていく


最悪の展開だ…依り代にされた

しかも闇堕ち主人公と一番好感度が高いヒロイン(多分修の中では一番)が同時にだ

ここからは何が起こるかわからない


今や主人公の設定が誰なのかさえわからない前代未聞の領域

現在の敵意が俺に向いている状態なので俺が主人公判定だとありがたい



「さぁ第二ラウンドだモブ野郎」

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