10話 限界を超えて

圧倒的重圧感、目の前の敵を強者たらしめる威厳がそこにあった。


全身から寒気が襲ってくる


今まで俺が相手にしていた将軍とは違う…

本気の将軍だ。


葉が落ちる…開戦の葉が地に落ちた。


瞬く間に間合いを詰められ攻撃をモロにくらう


数十メートル先まで吹き飛ぶ。

大丈夫、攻撃は見えた、体だって反応する。

受け身も取れたし力も逃がせている


森での戦いは無駄じゃない


いける‼︎


今度はこちらからだ

舞踏鬼人舞を発動


円弧からの連撃を叩き込む、将軍は俺の突然の加速に追いつけず、反応がおくれている


円弧で相手の視界から外れ鏡花水月で死角から攻撃、俺自身は前から攻撃する。


鏡花水月から放たれた斬撃は殺気がこもっている


いきなり敵が消えて死角から殺気を食らったら…



(そりゃぁ、振り向くよな)


「乱舞!」


『なに⁈貴様いつの間に‼︎』


俺の攻撃が将軍を削る将軍は段々と重く速くなる俺の攻撃に顔を顰める


『調子にのるでないわ!波状雲月はじょうくもつき


ッ⁈


マジか!技あんのかよ


将軍の剣が波の如く押し寄せる

乱舞で捌き円弧で加速し、なんとか凌ぐことができた。


しかし、将軍の攻撃は絶えず俺を襲う。

俺も攻撃で弾くことで舞踏を途切れさせない様にしている。


『ふむ…、貴様の舞踏…舞踏鬼人舞だったか?攻撃していないと効果が切れるのだろう?』


もうバレたか


「だったらどうした!」


神器と剣がぶつかり合う。

その音はまるでリズムの様に森に響く。


どれほど続いたのだろう

俺は、精神的な疲労が溜まるばかり…

対して将軍はピンピンしてやがる。


流石三級だけあって強い


こういうのって段階を踏んでやるもんじゃないの?


考えるまもなく次の攻撃がくる

将軍はさまざまな技を放ってきた。

馬鹿みたいに速い突きとか、消える攻撃とか

理不尽な攻撃が俺を襲う


『電光雷撃』


いや電光石火じゃないんかい



そんなことより避けられない

空中に誘導された

体をひねるがそれでも足りない


「血神強化!【100%】」


一瞬にして視界が開く、体に力が湧いてくる

電光雷撃を紙一重でかわし着地


「はぁ、ふぅ、やっぱ100%はきついな」


もう一度だ、後一回フルパワーを使えば力尽きる。


なら回避のためじゃなく攻撃に回したい。


俺は地面を蹴って懐に飛び込む。

乱舞、乱舞、乱舞

威力は小さくていい。

58、76、84、99、100


百回目の攻撃を終えた。

神器が淡く光る


コレで決める

「血神強化100%、舞踏鬼人舞、円弧」


血神強化で強化、舞踏でバフ、円弧で加速

加速により装備のバフ、そして百回目の次の一撃は…


10倍


「鏡花水月、乱舞‼︎」


鏡花水月は使用者に依存したダメージが入る


攻撃力が高ければそれだけ高くなる。


将軍の四方八方ではだめだ、一箇所に集中しろ


攻撃がぶつかり合う


今までで一番の力をこめて


「おぉぉぉぉおぉぉおぉぉ‼︎‼︎」


将軍も負けじと剣を振るう。


『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎』


辺りに衝撃波が広がる、木々は薙ぎ倒され

火花が生じる


ギリギリとぶつかり合う。


「負けてぇ、たまるかぁ‼︎」


終わりがないかに思われた戦いにも終わりは来るもので…


ぶつかり合いの結果は、


「俺の勝ちだクソ将軍!ゴフッ、はぁ、はぁ、はぁ」

そして、

とうとう俺の神気が尽きた。


「はぁ、はぁ、がぁ」


もう指の一本も動かない


『随分と重い一撃よのぉ』


「…⁈」


倒せていなかった?火力は足りてるはず


『ちょうど部下がいて助かったわい』


「て、めぇ…まさ、か…」


部下を取り込んだのか!吹き飛んだ時に部下を吸収して生きながらえやがった。


まずい、起きろ!死ぬ、やられる!


『その年でよくここまでわしを追い詰めた』


将軍が剣を振り上げる。


クソクソクソ

動け動け動け‼︎


『死ね』


今動かないと死ぬ、負ける!


「し、んで…たまるか」


動かない体を無理やり起こす

それでも足りない


ここで終わる?

死ぬ?


いやだ


嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ



死にたくない‼︎


ドクンッ



神器が鼓動する


周りの邪気を吸い上げる。

神器から黒いオーラが立ち上り俺に流れ込む。


黒い神気、邪気ではないが黒い


黒い神気が全身を駆け巡る。

荒ぶる波のように荒く強い神気


強制的なまでの力で立つ


片手・・で将軍の攻撃を止める。


「双剣特殊戦技【神舞】」








将軍の腕が消える


将軍は目の前の子供が豹変したことに戸惑う

先程まで瀕死だったガキが、気づけば自分の腕を切り飛ばしていた。


人間が出していい力じゃない


化け物だ


急いで腕を再生する

一瞬だった、意識が腕に向いた瞬間

間合いを詰められた


(こいつは危険だ、のちに我らの障害になり得る。ここで殺す)





あまりにも遅い

将軍の動きがゆっくりに見える

湧き上がる力の使い方は神器が教えてくれた。


「【水神狂龍化】100%」


それはまるで龍の化身、破壊の象徴


切れる、将軍がバターの様に

このまま押し切る!


全能感が体を満たす



今までの苦痛が嘘かの様に、痛みはない。


「双剣特殊奥義、【雨乞いの双剣】」


雨が降る、当たり前のように…


【雨乞いの双剣】、降るは斬撃、落ちるは敵の首


刃が吸いつくかの様に敵の首に向かう


首が落ちる

敵の首が…

体はバラバラに、雨の如く降り注ぐ。

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