第3話 ヒロインは小さくても可愛かった

あれから必死に修行(じたばたしてるだけ)を続け、気づけば俺は三歳になった


今は腕立て伏せの練習中…まだできたことないけど…


俺が必死に体を起こしている最中に母から声がかかる


俺は腕立て伏せを諦め母に向き直った


「修君~今日は公園でデビューしましょうね」

「こうえんでびゅー?」


どうやら今年から幼稚園ということもあって他人に慣れさせるためらしい



ふっふっふ任せなさい

俺の鍛え抜かれた体(プニプニボディー)で周りの子たちを圧倒して見せましょう!





公園にて


グハッ

「ば、バカな!血神強化を使っているんだぞ?なぜだ…」

「俺の負けだ…クッ殺せ‼︎」

「何馬鹿なこと言ってるの、修ちゃんさっさとあそんできなさい」



そ、そんなこと言っても…だ

俺は幼児を舐めていた…

無尽蔵の体力

残虐と言っても過言ではないくらいの無邪気さ


中身大人の俺が入るスキなどないのだ

仕方ない、砂場あたりで遊ぶか

体力作りは大切だと知った



「やめて!かえして!わたしのおにんぎょうさんかえして‼︎」



「へ、こんな不気味な人形なんてこうしてやる‼︎」


何やら銀髪の少女と少しガタイがでかいまさにガキ大将みたいな幼稚園児がいた


ガキ大将が手に持っているのは日本人形だった

まぁ確かに少し不気味ではあるがきちんと手入れされたその人形はどこか神々しさを秘めていた。


ガキ大将は腕を思いきり振りかぶると周りの傘下たちに人形を投げボールのように遊んでいる


少女も必死で取り返そうとするも身長差によって取り返せずにいる。


「おら!気持ち悪いんだよお前もこの人形も!変な髪しやがって」

「この仮面ライダー勇気様が退治してやる!」


ガキ大将は少女を突き飛ばし踏みつけた

ちなみに仮面ライダー勇気は今やっているテレビ番組だ


「うぐッ」


おいおい保護者は何やってんだよ!ちゃんと見てやれよ


あたりを見渡すも保護者らしき人は見当たらない

一通り探し回ると保護者達は公園の反対側の木陰のベンチで雑談していた。


しかもここは真ん中の小山に阻まれベンチのほうからでは見えなくなっていた。

子供の体では到底知らせに行くことはできない。


血神強化をフルパワーで使って知らせることができても力がばれてしまう


俺が止めに行くしか選択肢はなかった


はぁ公園デビューでいじめとかついてないな


「そこまでだ!ヒーローども!」


なるべく子供っぽく登場する


「あ?なんだお前!」


「ぼくはかいじん、マジシャンボーイ!きさまらのせいなるちからをさっちしたおし、にきた」


ガキ大将がヒーローなら、俺が悪役に回って標的を俺にすればいい

程よく戦うふりをして必殺技かなんかが来たらやられたふりをする



「マジシャンボーイだと?」

「ふっふっふこのきょうだいなちからをみるがいい」



俺はそこらに落ちていた石を空高く投げる

皆の視線が上に向く

保険として石に神気を込め破裂させる


そのスキにガキ大将どもの後ろに回り押さえつける


「な、いつの間に!」

「これがわたしのまじっく!しゅんかんいどうだ」


「くそッひきょうものめ!」

「そんなこといっていいのかい?」



俺は押さえつける力を一瞬緩め血神強化を発動、そのまま投げ飛ばす

ついでに人形をつかんで草むらに隠す


「ぐわぁ!」


投げ飛ばすといっても一メートルも飛んでいない


「くそ、強いここは必殺技だ」


キタ


「必殺!ライダー光線!」

「なに!ぐわぁぁぁぁぁぁ」


吹っ飛ばされたふりをする



「よし!今だ畳みかけろ」


え?


「ちょ、まっ」


ボスッドカ…ボスッドカボスッドカ………


ぼっこぼっこにされた

体中青たんだらけになってしまった


しばらくガキ大将たちは俺を痛めつけた後


「怪人打ち取ったり!」

と言って満足げに帰っていった



「いつつ、あいつらようしゃなくけりやがって」


体中傷だらけだのなか人形をとりにいく


「あ、あの、だいじょうぶ?かいじんさん」


怯えながら少女が話しかけてくる


「あぁだいじょうぶだよ、あ、そうだ!はいこれ。きみのでしょ?」


そういって振り向くと…


そこには天使がいた


「…!///」


ヒロイン! 姫百合 天音だ!

遠目からではわからなかった!いや銀髪の時点で気づくべきだったか?幼稚園まで合わないと油断していた!


てか、かわぇ〜天音の幼女vrとか天使やん

ロリコンが促進したわ!


「あ、ありがとうその、いたくない?」

「すげ〜いたい」

「その、ごめんなさいわたしのせいで…」


「いいって、それよりけがない?」


「…ない」

「そっかならいいや」

「………」

「はぁ」


俺は天音の頬をつかむ

(うぉやわらけー一生触っていられるわこれ)


「んぇ?」


そのまま頬を上に上げる


「ほら、わらって?きみにくらいかおはにあわない」


「わらえ、つらいとき、かなしいとき、えがおはきみをきっとたすけてくれる。たとえどんなにかなしくてないても、さいごはわらって」


コレは前世で母から教わった言葉だ


「このセリフ、かあさんのうけうりだけどね」


「……!うん!」


天音はそう言って笑った

やっぱ笑顔が一番可愛い


「かわいい」

「え///」

「あ、いや、いまのはその…こころのこえがもれた」


「プッ…あははは」

「あーわらったな」

「ごめんなさい、つい、おもしろくって」

「そうだ!きみのなまえは?」


もう知ってるけどな


「姫百合 天音だよ」

「そっか、天音ちゃんね!おれは清水 修だよ」

「修君ね、わかった」

「じゃあいっしょにあそぼ!」

「うん!いいよ!」



それから俺たちは夕方まで一緒に遊んだ


「バイバイまたこんどあそぼうね」

「うんバイバイ」



今日はいい一日だった

何やら母がニヤニヤしてるけどしらんぷりでごり押す。


「可愛い子助けちゃって、この修ちゃんは天性の女たらしね!」

「なんのことかな〜ぼくわかんなーい」

「あら、じゃあそのあざは何かしら?」

「ウグ…」

「せっかくお父さんに黙っててあげようと思ったけど…」

「参りましたせつめいするのでゆるしてください」


「ふふふ、それでいいのよ」


この後みっちり説明させられた

俺は母に一生勝てる気がしない

この妖怪美人ババアめ!

「あらなんか失礼なこと考えなかった?」


「…………なんでもございません」

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