第5話 幼稚園児としての三年間

どうも、清水 修です


現在は幼稚園児として生活しております

年少さんから始まり今は年中さんであります


え?なんで年少さんから解説しないのかって?



逆に君らは地獄を眺め続ける胆力があるというのかね…


頼みの綱である天音は別のクラスでした

ちくしょうメェ


幼稚園児、それは人の顔を被った化け物

公園デビューに負けず劣らず元気いっぱいだ


年少さんの思い出なんぞひたすら遊んだ記憶しかないわ!


しかーし!今年は天音と同じクラスになれたのだ!


さらには年中さんにはお遊戯会なるものが存在する。

おとぎ話とかを演技する奴だ


我らのクラスはなんとオリジナルストーリー

なにやら担任の先生がこういうのが好きらしいのだ。



ストーリーは、ある所にとても仲の悪い国があり、その北の国のとても美しい姫と南の国のカッコいい王子様の物語です


両国は戦争一歩手前で緊張状態


それを止めるため、王子様が北の国に向かい仲直りをしようとします。そこで偶然その2人は出会ってしまい王子様が一目惚れしました。


ある日突如現れた豚公爵と名乗る男に姫が攫われます



王子様がそんな姫を助けるために奮闘する


無事姫を救出した王子様は姫と結婚して両国はとても仲良くなり2人は幸せに暮しました、と至って王道の物語



配役決めにて王子様役はとても人気で、男子全員でジャンケン大会が起こる始末…



まぁ俺は参加しなかったけどね。

ちなみ王子様役はこのクラスのリーダー

青山君が王子様になってた。


青山君はこう…なんと言うか

あんまり好ましくないリーダーだ


傲慢な所が多いのだ。

それでも幼稚園では足が速かったり多少強引でもクラスを引っ張る奴がリーダーになる。



今回もジャンケンでなかなか決着がつかなかったため青山君がいいのではないかと、推薦が入り決着がついた。



(なぜかすごく嫌われてるんだよなぁ)


「おい!お前!」


うわ、きたよ


「お前が悪役になれ!」


「え〜、なんで?」


「ウザいんだよいつも涼しい顔しやがって!俺の方が厄除の面として優秀なんだから言うこと聞けよ!」


「????」


なんで厄除の面が出たんだ?

コイツの方が偉いってなに?


「どう言うこと?」

「へ、知らないのか、仕方ない教えてやるよ。お前清水のとこの神社だろ?俺のとこの神社、お前の神社が弟分なんだよ」



へーそうなんだー


ってえぇぇぇぇぇぇ!


マジ?


「それに俺はもう厄を倒す修行もしてるんだ」

「凄いね、僕はまだ修行してないよ」



幼稚園に上がってから厄を祓う所を何度か天音と見学する程度はやったが祓うのはまだだな。


なぜ天音と一緒かと言うとなんか俺のとこの神社と天音の所の神社が仲がいいらしい。


まぁとりあえずよいしょしとけば、なんとかなるだろ




















と思っていた時期が俺にもありました…


青山と話していたらなんか豚公爵以外の役が埋まっていました。


ちなみに姫は天音だ


銀髪でお姫様みたいだかららしい

天音自体は髪についてはコンプレックスらしく嫌がっていたが、周りに流されて決まっていたらしい。




まぁ可愛いからな天音。





そんなこんなで悪役しか残っていない今日この頃、現在俺は豚公爵のセリフを読みながら、演技の練習をしております。



「ふはははッ姫は頂いた」

「きゃー!助けてー☆」


あのー全然怖がってる様に見えないんですが…


むしろ俺に抱き抱えられて嬉しそうにしないでください


『天音ちゃん、ほらちゃんと怖がって!』

『怖がってるよ?ほら、きゃー怖いー♡』


だめだこりゃ

凄く可愛いし好きだけど…

とりあえず脳内スクショ五千枚ほど保存


コレはまずいだ…ろ?


ふと先生に目を向けるとそこには目を輝かせながら

「悪役ルートもありね!美女と野獣てきな…

あ〜、いい…」


全然OKでした…チクショウ



とりあえず俺の心情はさておき演劇の準備は着々と進んでいった。



豚公爵の設定がなんか不遇主人公並に可哀想だけどコレは意図してやってます?


「さて、皆さん!だんだんとできてきたので一度やってみたいと思います。」



先生の掛け声と共にリハーサルが開始した。





劇が終わって…



「せんせー、なんかスッキリしない」

「うん、なんか豚公爵が可哀想だよね」

「なんか王子様がかっこよくない」

「俺も王子様役やってて思ったぞ」





一人一人感想を述べ始める。


確かにただの悪役ならあそこまで豚公爵に感情移入させるシーンはいらない。



「じゃあどうしたらいいと思いますか?皆さんで考えてみましょう!」




「……わかんなーい」


俺たちはそのまま納得いかないまま家に帰った。





家にて…



今俺たちは道場みたいな場所で座禅を組んでいる。これは神気を知覚する修行だ。



幼稚園児の頃から厄との戦いに向けて教育とはなかなかスパルタだな…


隣の天音はなかなか神気を知覚出来ずに戸惑っている。


俺からみたらあふれんばかりの神気が渦巻いている様にしか見えない。



当初の俺のざっと10倍はあるんじゃないだろうか?



本当に羨ましい才能だ

俺はこの子を守ろうとしている。

逆に守られたなんかいったら生きていけないので頑張ろうと決意するのだった

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