第10話 「…あのことを知らなければ、良かった」たまたま知ってしまった、あのことが…。2人の中学生と、その恋を、苦しめていく。

 「ああ…。どうして、こんなことを、してしまったんだろう」

 ケイは、通っていた高校の生徒情報を、ネットで、見てしまった。

 遊び半分の出来心で、やってしまったことだった。

 ケイの指が、震えていた。

 「そうか。そういうこと、だったのか…」

 これを、どう思う?

 「…生徒情報を、見るの?そんなの、無理じゃないの?学校の情報は、守られているはずでしょ?私たち生徒の個人情報とかって、学校の先生が、ちゃんと、守ってくれるんじゃないの?」

 そう思っちゃっていた子は、まだまだ、甘いかな?

 学校の情報も、生徒の情報も、守られていません。

 学校の先生のレベルは、ハンパないから。

 「うわ。金がないなあ…。どうするか?そうだ。生徒の情報を、売ってやれ!子どもたちがどうなろうと、俺ら、大人が助かれば良いんだ。俺ら学校の先生は、コームインなんだものな。うひひひひ」

 これが、今どきの、学校の先生の中身。

 非常勤の先生たちは、がんばっているのにさ。

 生徒の情報、ダダ漏れ。

 ケイが見てしまった、彼女の姿とは…?

 「…こんなの、良くないよ。忘れよう」

 翌日からも、ケイは、部活動が終わり、ユキと一緒に、帰ってあげることにした。

 たまに、スマホに、あのアプリが現れた。

 嫌な気持ちを払うのと、これを続けると何かが起こるんじゃないのかという期待で、性別ガチャを続けていた。

 ユキは、良い子だった。

 「ユキちゃん…」

 そして、悩んで、悩んで。

 「…あのことを知らなければ、良かった」

 後悔。

 たまたま知ってしまった、あのことが…。

 ケイを、苦しめていく。





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