第5話 「痛いの痛いの、飛んでけ~!」「はい、学校の先生が、消えていなくなりました」「それな!」 学校の先生のきらわれ方、ハンパないし。

 海水浴にはいけなかったぶん、2人で夏祭りにいったり、博物館にいったりもした。海水浴以上の楽しみを、満喫していた。

 「ほら、ユキちゃん?ここだ」

 「漫画が、たくさん、ありますね」

 「…漫画喫茶っていうくらいだからね」

 「すご」

 「そう?」

 「すご」

 「つれてきて、良かったよ」

 すご、すごって…かわいいもんだよ。

 ボキャ貧だなあなんてことは、言わなかった。

 中学生女子は、強くて、繊細。

 傷付けないように、楽しんでもらいたかった。

 「たとえ、勘違いだったとしても、この俺に、感謝までしてくれたんだ。この後輩は、守ってあげなくっちゃならない」

 でも…。

 疑問のまま。

 どうして、ユキは、海水浴には、絶対にこようとしなかったのだろう?

 「俺の何かが、いけなかったんだろうな。あの子を、もっと、ちゃんと、守ってあげたい。助けてあげなくっちゃ、ならない!」

 純粋な気持ちが、急ぎはじめた。

 「ユキちゃんの気持ちに、ちゃんと、真心から近付くには、どうすれば良かったのかなあ?」

 ケイは、ボーッとしたまま、放課後の教室で、スマホをいじっていた。

 今どきの学校の先生とサヨナラできるこの時間は、良かった。チホーコームインっていう種族は、秒で、変態に切り替わる。

放課後は、奴らから逃げられる、チャンス。

 生徒らは、怒り。

 「今どきの学校の先生を、何とかしてよ」

 「まじ、やばみ」

 「学校の先生だけ守られるのって、おかしいよ!」

 「そうよ!」

 「怒るな、怒るな」

 「怒るってば!」

 「痛いの痛いの、飛んでけ~!」

 「はい、学校の先生が、消えていなくなりました」

 「それな!」

 「学校の先生たちは、地獄に、飛んでいきました」

 学校の先生のきらわれ方、ハンパないし。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る