第12話 中学生は、付き合い続けた。いつかは、消えていく恋なのかもしれないと、あきらめ、絶望しかけて、狂うほど、痛みを覚えていたとしても…。

 「先輩?どうしちゃったんですか?」

 「君には、悪いことを、言っちゃっていたよな」

 「はい?」

 「海に入って泳がなくても、良いのにな」

 「…」

 「君のことを、わかってあげられたつもりだった」

 「…」

 「でも、わかっていなかったんだな」

 「…先輩」

 ケイは、ユキちゃんと、付き合い続けた。

 いつかは、消えていく恋なのかもしれないと、あきらめ、絶望しかけて、狂うほど、痛みを覚えていたとしても…。

 「ケイ先輩?」

 「何?」

 「先輩と、一緒に浜辺にいくことができなかったのは…」

 「…もう、良いよ。それ以上、聞かない」

 「先輩、ごめんなさい」

 「ううん」

 「…ごめんなさい」

 「ははは…俺、子どもだったのかな?君みたいな子が、浜辺で、水浴びをしてはしゃいでいるところを、見たかったのにな」

 「もう、いかなくっちゃ…。クラス担任に頼まれている仕事が、あるんです」

 「君の、クラス担任に?」

 「…はい」

 「クラス担任の言うことなんか、聞いちゃあ、ダメだよ?」

 「でも…」

 「何をされるか、わからないじゃないか」

 「…」

 「でも…」

 「ユキちゃんは、優しいんだね」

 「…」

 「あのクラス担任、新卒なんですよ?」

 「…」

 「あの…あれです」

 「新卒…。変態からは、逃げてきちゃっても、良いじゃないか」

 「できませんよ。逃げるだなんて」

 「あいつ、大学院も出ていないんだよ?」

 「知っています」

 「生徒よりも、頭が悪いんだよ?」

 「知っています」

 「新卒の学校の先生は、放っておくと、かわいそうだからかい?」

 「新卒介護、です…」

 「ユキちゃんは、やっぱり、真面目なんだね」

 もしかしたら、気を紛らわそうと、言っていたのかも。

 ケイは、どうすれば良いの?





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る