第13話 中学生の、ゆれる、恋心。言わなくても良い親切心が出ちゃったりしてさ。余計なことばかり、考えて。結局は、自分たちを苦しめてしまう。

 「ケイ先輩?」

 「何?」

 「学校の先生って、かわいそうな生き物なんです」

 「…」

 「手伝ってあげないと、自分の力じゃあ、何もできないから」

 「そっか」

 「そのレベルで…。守秘義務だとか、公務員法を課されていく。処理できる力がないんじゃないのかと思います」

 「…」

 「幼すぎます」

 「…」

 「かわいそうな生き物、なんです」

 「そうかもね…」

 「非常勤でがんばっている先生たちが、気の毒です」

 「…」

 「コームインのレベルも、落ちたものですよ」

 「…」

 「こういうことだから、コームインは、この世から早く消えていなくなってほしいと言われちゃうんでしょう」

 「…」

 「学校の先生では、情報の管理も、できなくなってしまいました」

 「…う」

 生徒の個人情報をのぞいてしまっていたケイには、痛すぎた。

 「先輩?」

 「な、何?」

 「高齢者は、この日本は、誰が作ってやったと思っているんだって、言いがちです」

 「ああ…」

 「学校の先生と、似ていますよね?」

 「そうだね…」

 「終活を、手伝いしなくっちゃ。学校の先生たちは、そのうち殺されるかもしれない。それでも、私たちが、生きるために」

 「…そう、だね」

 「コームインは、私たち一般の人から金を吸い上げることで、生きています。その生き方を利用するのも、ありだと思います」

 「…強いなあ」

 「先輩は、影で、ずっと支えてくれる。先生とは、先輩のことですよ」

 「影…、か」

 そのとき、ユキちゃんが、どこにいくときにも、日よけ用のフードをかぶっていたことを思い出してしまった。

 そうしたら、言わなくても良い親切心が出てしまった。余計なことばかり、考えてしまう。結局は、また、自身とユキを苦しめてしまうのだった。




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